2013 Fiscal Year Annual Research Report
生物時計とA-to-Iエディティングの新しい連関とリズミックな転写後制御の重要性
Project/Area Number |
12J10494
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺嶋 秀騎 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | サーカディアンリズム / 概日時計 / CLOCK / Bmal1 / トランスクリプトーム / ADAR2 / A-to-Iエディティング / 転写後制御 |
Research Abstract |
哺乳類の概日時計においては、転写因子であるCLOCKとBMAL1がDNA上の時計シスエレメントE-boxに約一日周期で結合と解離を繰り返し、多様な遺伝子の転写リズムを誘起する。当研究室においては、CLOCKが結合するDNA領域を網羅的に同定し、さらにトランスクリプトーム解析が行われた。この先行研究のデータを基に本研究では、概日制御を受ける新規遺伝子群を同定し、概日時計に関与する新規の分子機構の解明を目的とした。 昨年度までに申請者は、A-to-I RNAエディティング酵素をコードするAdar2のイントロン領域にCLOCKがリズミックに結合していること、並びにAdar2のmRNA量及びエディティング活性がマウス肝臓において概日変動することを見出している。本年度はまず、概日時計がエディティング活性を制御するという仮説を検証するため以下の実験を行った。CLOCKがリズミックに結合しているAdar2のイントロン領域をクローニングし、Luciferase発現vectorに組み込んだ。このレポーターを用いた転写解析により、Adar2の転写がCLOCK-BMAL1により制御されていることが示された。さらに、Adar2の発現リズムが消失しているBmal1ノックアウトマウス、及びAdar2ノックアウトマウスにおいて、転写産物中のエディティング効率リズムを測定した。その結果、野生型マウスにおいて見られたエディティング効率の概日リズムは、これらのノックアウトマウスにおいて消失していることを見出した。 一方、Adar2が概日時計の発振系そのものにフィードバックしている可能性について検証するため、Adar2ノックァウトマウスの輪回し行動リズム解析を行った。その結果、Adar2ノックアウトマウスの行動リズムは、コントロールマウスと比較して有意に短周期であることが判明した。 これらの実験結果から、概日時計とA-to-I RNAエディティングという二つの分子機構における双方向の連関が初めて明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(4 results)