2014 Fiscal Year Annual Research Report
自殺の定量的分析 -経済状況と自殺の関係について-
Project/Area Number |
12J10541
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松山 早紀 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 自殺問題 / 主観的幸福度 / 高齢者 / 東日本大震災 / 被災者 / ショックへの対応 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで自殺と社会・経済状況の関係や、日本の自殺の実態に関する研究を行ってきた。自殺問題の研究を行う中で、自殺に至る直前に多くの人がうつ病にかかることが分かった。しかし、うつ病に至るまでに、職場環境の悪化や失業、病気、家族の不和など様々な問題が潜んでいる。そこで、私は自殺問題の研究から得られた知見をさらにメンタルヘルスや主観的幸福度の研究へと発展させ、ライフステージで起こりうる様々なショックに対して人々がどう対応しているのか、という研究を行った。特に、2011年に起こった東日本大震災が、高齢者のメンタルヘルスや主観的幸福度に与えた影響について研究を行った。分析に用いたデータは、中高齢者を対象としたパネルデータ「くらしと健康の調査(以下、JSTAR)」である。JSTARは都市ごとにデータの収集を行っており、第三回の調査は震災の6ヶ月後に行われ、被災地である仙台市が第一回から継続して調査となっている。震災の前と後の両方で、被災地である仙台市と直接の影響は受けなかった他の都市のパネルデータを用いて、差と差の検定を行った。結果、震災後に仙台市の高齢者の中でも60代の女性の主観的幸福度が下がっていること、睡眠の問題などいくつかの精神状態の悪化が見られることが分かった。この研究結果は、国内の学会のみならず国際学会でも発表を重ねており、英文査読雑誌にも投稿済みである。 採用第3年度は、アメリカ・南カリフォルニア大学経済学部にて、在外研究を行った。そこでは、日本経済の専門家や幸福の経済学の先駆的研究者、高齢者の研究を行う経済学者らを中心に、日本のみならず海外の自殺問題の研究をも議論し、ヒントを数多く得た。その中で、医療や年金といった社会保障制度が日本の高齢者の自殺を防ぎ、高齢者の主観的幸福度にも寄与しているのではないか、と考えるようになり、今後の研究の中心テーマを築くことができた。
|
Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(4 results)