2012 Fiscal Year Annual Research Report
クルマエビゲノム中の病原ウイルスWSSV類似遺伝子をコードする巨大繰返し配列
Project/Area Number |
12J10586
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
設楽 愛子 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | クルマエビ / WSSV / 甲殻類ゲノム |
Research Abstract |
クルマエビゲノムに見られる数百kbにおよぶ巨大繰返し配列の全容解明を目的として、全塩基配列の決定を行う候補BACクローンを選別した。クローンはこれまでの研究でショットガンシーケンスを行った2個に加え、合計7個選別した。本年度は、特に既に配列決定を行ったクローンMj044A04の配列から得られた新規熱ショックプロテイン70(HSP70)に注目し、詳細な解析を行った。解析の結果、新規HSP70は既知のHSP70とは異なる機能を持つことがわかった。このことからクルマエビゲノム中に存在する巨大繰返し配列にはクルマエビ体内での生理活動に関わる遺伝子も存在することが示された。本研究結果は、Fisheries Science誌に掲載された。 マイクロアレイ法による網羅的遺伝子解析のためオリゴマイクロアレイを設計した。オリゴマイクロアレイにはトランスクリプトーム解析により得られた転写産物、WSSV類似遺伝子およびWSSV遺伝子の合計13,310配列を搭載した。次年度WSSV感染個体および非感染個体を用いてマイクロアレイ解析を行い、WSSV類似遺伝子の発現動態の比較を行う予定である。 また、本年度は研究計画に加え、次世代シーケンサーによるクルマエビゲノム配列決定を行った。本解析はクルマエビゲノム中に存在するWSSV類似遺伝子の探索およびそれらを含む巨大繰返し配列についてゲノム中の占有率やその概要を知ることを目的とした。解析の結果、推定ゲノムサイズの約1.8倍となる3.6Gbを決定した。注目すべきことに、決定された配列中に巨大繰返し配列の一部と考えられるBACクローンMj024A04と一致する配列は全体の約1%存在し、一細胞中に複数コピー存在するミトコンドリアDNAと比較して1.2倍であった。この結果より、本研究で注目している巨大繰返し配列はクルマエビゲノムの数%を占めていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に示した項目について一部進捗の遅れが見られるものもあるが順調に進んでいる。またゲノム配列の決定等研究計画以上の進展が見られるものもあることから全体として概ね順調に進展したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画に基づいて研究を行う予定である。本年度に計画した項目のうち達成できていないものについては次年度継続して研究を行う。また、次世代シーケンサーを用いてクルマエビゲノム配列決定についても、データ量が十分ではないため、さらなる情報蓄積を試みる。
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Research Products
(5 results)