2012 Fiscal Year Annual Research Report
現代中東における「覇権」と「抵抗」の国際政治学:シリア、イラン、そしてアメリカ
Project/Area Number |
12J10643
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
溝渕 正季 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 国際政治学 / 中東地域研究 / 安全保障論 / 地政学 / 覇権 / バランス・オブ・パワー / 地域秩序 / アメリカ |
Research Abstract |
冷戦終結以降、「一極の瞬間」を迎えたはずの超大国アメリカはなぜ、とりわけ21世紀に入り、中東地域においてその影響力を十分に行使できていないのだろうか。また、アメリカに対して脅威の認識を抱き、(ソフト)バランシング戦略を追求していたシリアとイランは、今後いかなる対外政策を追求するのか。そして、中東地域におけるアメリカのパワーと覇権、そして同地域の地域的安全保障秩序は今後、いかなる変遷を遂げていくのだろうか。本研究の目的は、徹底した一次資料分析と綿密なフィールド調査に加えて、最先端の国際政治理論を組み合わせることで、このような一連の問いを考察することである。 採用第1年度目である平成24年度においては、論文執筆やアウトプットではなく、主として基礎研究と資料収集に重点を置いて研究を進めた。その概要や具体的な作業内容は以下の通りである。 第1に、各国の日刊紙、学術雑誌、あるいは各種web媒体などについて、膨大な数に及ぶそれら定期刊行物を収集し、丁寧に読み込み、適宜日本語へと翻訳し、データベース化する作業である。こうして作成されたデータベースは、今後2年間の採用期間においてきわめて重要となるものである。 第2に政府刊行物や公文書、ないしは中東地域における各政治・軍事組織の発表した諸資料の収集である。本年度はとりわけ、2011年3月より顕在化したシリア危機に関して、主に反体制軍事勢力が発表した膨大な数に及ぶ動画資料や声明文を網羅的に収集した。これは、現在執筆中のシリア危機に関する論文において貴重な資料となることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採用第1年度目の本年(平成24年度)は、主として基礎研究と資料収集にあてられた。したがって、必然的に発表した論文の数は少なくなっているが、それは期待ほどの研究が進まなかったことを意味しない。平成24年度には数多くの研究著書・論文を読み込むと共に、貴重な資料を多く入手し、データベース化し、その一部の翻訳も手掛けることができた。また、これらのデータを現在論文として発表する準備も着々と進めている。本年における蓄積は、来年度以降のアウトプット作業において、大いに役立つと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
採用第2年度目をむかえる平成25年度においては、採用第1年度目に読み込んだ文献や先行研究を元に、蓄積した膨大なデータを分析すると共に、それを論文や研究発表というかたちで発表していく。なお、平成25年度においては、既にいくつかの国内外の学会発表(日本国際政治学会、国際安全保障学会、The Centre for Syrian Studies(CSS)Conference on "The Syrian Uprising : Drivers and Dynamics,"など)が決定しており、論文も目下執筆中である。
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Research Products
(4 results)