2012 Fiscal Year Annual Research Report
東アフリカにおける農民と牧民の協調関係の発展プロセスに関する研究
Project/Area Number |
12J10662
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
加藤 太 信州大学, 農学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 東アフリカ / 稲作 / 半農半牧民 / 放牧地 / 水田 / 住民グループ / トマト / 植林 |
Research Abstract |
東アフリカ・タンザニア共和国のキロンベロ谷では水田と放牧地が競合することで、農民と牧民の対立が続いてきた。本研究の枠組みは、現地でのフィールドワークを基盤としながら、両民族集団をつなぐ住民グループを組織し、稲作、野菜栽培、林業等にかかわる研究を住民とともに実施することで両者の協調関係を発展させることである。 平成24年は、タンザニアでの現地調査と国内での栽培に関する基礎データの収集を行った。タンザニアでの現地調査では、住民グループの立ち上げを行うとともに、稲作の集約化やグループ活動を促進する目的で廃材を用いた脱穀機を導入した。また、野菜栽培については畑作適地の選定を実施するとともに、小規模な実験プロットを構築し、グループのメンバーとともにトマトの適正な育苗方法を模索した。この結果、脱穀機については住民グループが量産することになり、グループ活動の活性化を促進するうえに、現地の稲作にかかわる作業を効率化できる可能性が出てきた。野菜栽培に関しては、住民グループによって育苗段階におけるポットの利用など試行錯誤がはじめられ、播種量や肥料、農薬の施用を抑えることに成功した。植林に関しては、住民グループを植林地の選定を行っているところである。 国内での研究では、タンザニアの稲作や野菜栽培に関する基礎的データの収集を実施した。稲作では熱帯産のイネ品種の高温条件下における収量性や環境負荷に関するデータの分析、野菜栽培ではタンザニア産トマトを用いた窒素肥料に関する施肥試験を実施した。この結果、高温条件下でのイネの栽培では植物体を小さくするように栽培すると環境負荷が大きくならずに収量を確保できることや穀物類の日長反応性に関するモデル式の構築、トマトの施肥試験では尿素系の窒素肥料の施用が現地の品種にとって有効であることが確認できた。こうした研究成果は現地の住民グループのセミナーで発表し、今後の活動に役立ててもらった。
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