2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J10683
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 あき 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 主観的判断 / 意思決定 / 系列効果 |
Research Abstract |
本研究課題の遂行において、本年度は主観的な判断を行う際に生じる系列効果現象の検討とその生起要因の解明を目標とした。系列効果とは、順番に呈示される刺激に対して量的な評価(光の明るさ・音の大きさなど)を行うと、個々の刺激に対する評価が直前の評価に近づくようにバイアスが生じるという現象である。前年度の研究では、この系列効果が顔画像に対して魅力度の評価をするといった高次判断を行ったときにも生じる現象であること、さらに、顔の魅力度評定では、先行する顔画像と現在の顔画像の性別が異なるときには、同じ場合に比べて系列効果が弱まることを明らかにした。本年度ではこの魅力評価時の系列効果が、刺激間の類似性といったボトムアップ要因に起因するか、あるいは評価フレームの切り替えというトップダウン要因に起因するかという問題を検討した。実験では、正立顔と倒立顔の顔画像に対して魅力度の評価を連続的に行ったときの、先行する刺激への評価と現在の刺激への評価の関係を調べた。その結果、顔の物理的特徴は同一にも関わらず、性別判断が難しい倒立顔に対する系列評価では性別カテゴリの効果は生じなかった。このことから、系列効果における性別カテゴリ効果は、ボトムアップ要因(特徴間の類似性)に起因するのてはなく、性別カテゴリによって評価フレームを切り替えるなどのトップダウン制御が関与する可能性が示唆された。これらの研究成果について、国際会議(ECVP 2013)と国内会議(日本基礎心理学会)において発表を行い、基礎心理学会では優秀発表賞を受賞した。この研究成果はAttention, Perception, &Psychophysics誌にて誌上発表された。これらの研究成果は、本研究課題である、人間の高次意思決定メカニズムを解明する上で有用な知見であり、最終年度の研究目標の土台を得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申諮書の研究の目的に挙げた通り、主観的判断の系列効果に関する心理物理実験を行い、新たな知見を明らかにする械果を得た、また得られた成果について、計画通り、複数の国内・国際学会での発表及び学術雑誌への投稿を行っており、当初の計画を十分に実現しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の研究では、実社会場面で生じる系列効果のメカニズムの分析を行うことを目標とする。主観的判断の系列効果に関して、教育・人事面接や競技審査など、現実の評価場面で実際に生じている事態について分析と実験的検討を行い、人間の幅広い意思決定プロセスの包括的理解を目指す。
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Research Products
(4 results)