2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J10713
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
津山 美穂 近畿大学, 総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | レーザーピーニング / レーザー誘起衝撃波 / 塑性変形 / 圧縮残留応力 / レーザープラズマ / 炭素鋼 / ステンレス鋼 |
Research Abstract |
現在報告されているレーザーピーニングの研究は、ピーニング処理後の材料特性(残留応力、硬度等)を調べたものが主であり、処理の高効率化に向けた系統的研究は展開されていない。レーザーピーニングは、レーザー照射条件、材料状態、レーザープラズマの状態、プラズマの閉じ込め層の4つによって処理効果が決定される。申請者は、この4つのパラメータをレーザーピーニングパラメータと定義し、レーザーピーニングパラメータを制御下に置いた実験研究を行い、高エネルギー利用効率レーザーピーニング技術の開発を目指している。今年度においては、まず、レーザーピーニングパラメータの中からレーザーの照射条件と材料の結晶状態を制御した実験研究を行った。レーザーの照射条件に関しては、レーザーエネルギー、重ね打ち率、レーザー照射角度、レーザービームスポット径を制御し、多数回の照射実験を行い、硬度測定結果の実験データベースを蓄積した。その上で、各レーザー照射条件における最適なレーザーピーニング条件を見出した。材料の状態に関しては、金属試料にアニーリングを施して結晶状態を制御し、各結晶状態におけるレーザーピーニングの効果を調べた。その結果、各材料において結晶状態が異なることでレーザーピーニングの効果に影響が生じ、ピーニングに最適な結晶状態が存在することが判った。さらに、プラズマ圧力をプラズマ発光の空間時間分解計測によって観測した。多数回における観測によりデータベースを作成することで、あるレーザー照射条件下に置いてのプラズマの挙動が、シミュレーションによって推測可能となった。そして、このプラズマ圧力の評価結果と併せて、レーザーピーニングに最適なレーザープラズマ・衝撃波の状態を確定するため、速度干渉計(VISAR)を用いた衝撃波速度測定の準備を進めた。現在は、VISARの配置は設定済みであり、衝撃波速度の測定が可能な状態となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザーピーニングパラメータを様々な条件下に設定し実験研究を行い、効果的なレーザーピーニングパラメータの条件を見出している。しかしながら、まだレーザーピーニングに最適なパラメータ条件の確定には至っていない。また、プラズマ観測は順調に行われているが、レーザーピーニングに最適なパラメータの条件を確定するには、様々なレーザーピーニングパラメータの条件下において、より多数の測定が必要である。VISARに関しては、来年度へ向けて実験可能な状態となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続きレーザーピーニングパラメータを様々な条件下に置いた実験研究を進め、レーザーピーニングに最適なレーザーピーニングパラメータを確定する。まずは、レーザーピーニングパラメータの中から、レーザーの照射条件と材料の結晶状態を変化させた実験を行い、レーザーピーニングに最適なレーザーの照射条件と材料の結晶状態を確定する。また、プラズマ圧力をVISARによって測定し、プラズマや衝撃波の挙動を調べ、レーザーピーニングに最適なプラズマの条件を見出し、確定する。さらに、プラズマ閉じ込め層に関しても、従来の水だけでなく、様々な気体・液体・固体を用いて繰り返し実験を行い、レーザーピーニングに最適な閉じ込め層の条件を見出し、確定する。そして、全てのパラメータの最適条件を確定し、高エネルギー利用効率レーザーピーニング技術を確立する。
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Research Products
(6 results)