2012 Fiscal Year Annual Research Report
SPT阻害剤の効率的合成を志向した触媒的不斉反応の開発
Project/Area Number |
12J10716
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武智 翔 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | SPT阻害剤 / Viridiofungin A / NA808 / ソフトLewis酸 / 協奏型機能触媒 / α-スルファニルラクトン / アルドール反応 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)は、スフィンゴ脂質に富む細胞膜上微小ドメインである脂質ラフトにおける会合・増殖が示唆されており、スフィンゴ脂質生合成経路の律速酵素であるSPT(SerinePalmitoyl-CoA Transferase)の阻害による脂質ラフトの形成抑制がHCVの増殖抑制作用を示すことが報告されている1。 SPT阻害剤は宿主因子を標的としていることから、HCVが薬剤耐性を獲得しづらい新規作用機序を有するHCV増殖抑制薬のリード化合物として注目を集めている。SPT阻害剤であるViridiofungin A、NA808の構造上の特徴として、長鎖アルキル鎖からなる疎水性部位と、不斉四置換炭素を有し極性官能基が密に集約した親水性部位が挙げられ、特に後者の立体選択的構築は困難を伴う。そこで私は、独自触媒反応を駆使する事でこの問題を克服し、効率的なSPT阻害剤の合成法を確立すべく研究に着手した。ソフトLewis酸にAgPF6、二座ホスフィン配位子である(R)-3,5-di-(tBu)2-4-MeO-BIPHEP、DBUを用いる協奏機能型触媒によりα-スルファニルラクトンを用いるダイレクトアルドール反応が円滑に進行する事を見出した。 本触媒条件下基質一般性の検討を行ったところ、種々の脂肪族アルデヒドに対してシン選択的に高いエナンチオ選択性にて反応が進行し、よりエノール化しやすい脂肪族アルデヒドの自己縮合は殆ど見られなかったさらに、脂肪族アルデヒドのみならず、芳香族アルデヒドに対しても高いジアステレオ・エナンチオ選択性にて望みのアルドール反応が進行した。本アルドール反応は、19.1gスケールにおいても望みのアルドール反応成績体を与えた。得られた成績のラクトン部位を還元した後に水酸基をTBDPS基で保護し、エポキシド前駆体を得た。S-メチル化により生じた中間体に対してDBUを作用させることで三置換エポキシドを高収率にて構築する事に成功した。最後に、PMB基をDDQにより脱保護しNA808の既知合成中間体へと導くことに成功した。本中間体からViridiofungin A、NA808の合成を達成した。
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Research Products
(3 results)