2012 Fiscal Year Annual Research Report
半導体用微細孔充填を目的とした高速銅めっきの電気化学工学的検討
Project/Area Number |
12J10757
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
林 太郎 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 貫通電極(TSV) / 電解銅めっき / PRパルス電流 / 一価銅 / 回転リングディスク電極 |
Research Abstract |
高集積回路に求められる情報処理量の増加に伴い、半導体素子面積の増大を目的としてチップを積層し、素子を高密度化することが検討されている。[1,2]このチップ積層技術として、積層されたチップ間の直接配線を可能とする貫通電極(TSV)に注目が集まっている。本研究では、TSV製造工程の中でもキーテクノロジーの一つとされる電解銅めっきを用いたホール充填技術について検討を行った。当初の予定では、電解銅めっきを行う際に取り扱う複数添加剤の挙動についての研究を行う予定であったが、今回「各種添加剤はめっき中に生成される一価銅と様々な相互作用を引き起こす」と考えられるため、めっき浴中の一価銅がめっき反応の重要なファクターになると考え、めっき中に生成される一価銅濃度の測定及び、一価銅濃度の違いがめっき形状に与える影響を検討した。 実験方法について説明する。実際のホールに対して、めっき電流波形(PRパルス電流)を変化させることで電解銅めっきを行った。また、めっき電流によって生成される一価銅の割合を、回転リングディスク電極(RRDE)により評価し、めっき結果との比較を行った。 実験結果について説明する。(1)直径4μm、深さ30μmのホールに対して逆電解電流密度を変化させてめっきを行ったところ、逆電解電流密度の増加に伴いホール底部の欠陥が減少することを確認した。(2)RRDEを用いて一価銅生成量を評価した。この実験により逆電解電流密度の増加に伴いめっき中に生成される一価銅濃度の増加が確認された。 以上の結果より、PRパルス電流波形の逆電解電流密度を増加させることにより、ホール内部における一価銅生成量が増加し、各種添加剤の効果を高めたために充填結果が良好になったと考えられる。今後は有限要素法を用いたシミュレーションを行い、ホール内部の一価銅濃度分布および各添加剤との反応モデルを構築する。 1)K.Kondo et al.,ECS.,152,H173(2005). 2)K.Kondo et al.,ESSL.,13,D26(2010).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画ではめっきに用いる添加剤効果に関する研究を行う予定であったが、添加剤と相互作用を引き起こすことが考えられる浴中の一価銅に研究対象を変更し、電流波形変化によって生成される一価銅濃度変化および、一価銅濃度とめっきによる銅の析出形状の関係を明確にした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は有限要素法を用いたシミュレーションを行い、微細孔内部においてめっき中に生成される一価銅濃度分布を明確化し、各添加剤との反応モデルを提案することで、微細孔内部の開口部から底部の間での反応モデルを検討する。さらに、異なる形状の微細孔に対してもシミュレーションから得られたデータを基にめっきを行い、反応モデルの有意性を検討する。 加えて、貫通電極形成後の加熱工程(~400℃)において銅配線が膨張し、貫通電極周辺の基板/配線を破損するという課題が近年問題視されている。そのため、低抵抗配線の作成に加えて銅配線の熱膨張の抑制が求められる。400度までの銅配線の熱膨張を抑え、低抵抗な配線を形成するめっき技術を検討する。この研究により配線抵抗が最小となるときの銅の粒径を特定し、このときの反応における添加剤と銅イオンの相互作用(銅粒内の核発生および核成長等)を明らかにするだけにとどまらず、熱膨張抑制メカニズムを明確化する。
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