2013 Fiscal Year Annual Research Report
半導体用微細孔充填を目的とした高速銅めっきの電気化学工学的検討
Project/Area Number |
12J10757
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
林 太郎 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 貫通電極(TSV) / 電解銅めっき / PRパルス電流 / 一価銅 / シミュレーション |
Research Abstract |
高集積回路に求められる情報処理量の増加に伴い、半導体素子面積の増大を目的としてチップを積層し、素子を高密度化することが検討されている。このチップ積層技術として、積層されたチップ間の直接配線を可能とする貫通電極(TSV)に注目が集まっている。本研究では、TSV製造工程の中でもキーテクノロジーの一つとされる電解銅めっきを用いたホール充填技術について検討を行った。我々は昨年、めっき電流波形の逆電解電流を増加することで、ボイドフリーの完全充填を達成した。また、電気化学測定より逆電解の増加に伴う電極表面上のCu^+濃度の増加を確認した[1]。しかし、昨年の報告では電極表面上の反応しか考慮していない。めっきによるホール充填の更なる反応制御のためには、ホール内部でのCu^+イオンの挙動を理解する必要がある。そこで、本年度はホール内部充填の選択的析出制御の向上を目的として、有限要素法を用いたシミュレーションを行うことでめっき中にホール内部で生成されるCu^+濃度分布を明らかにした。 シミュレーション結果について説明する。まず初めにホール内部のCu^+イオン分布を算出するために、Cuイオンの反応速度定数を実験およびシミュレーションの電流分布を比較することで決定した。その後、決定した反応速度定数を用いてホール内部のCu^+イオン分布を算出した。シミュレーション結果より、Cu^+イオンは逆電解時に大量に生成され、休止時間のCu^+イオンのホール外部への拡散により、ホール開口部からホール底部にかけてCu^+イオン濃度が高くなる濃度勾配が生じることが分かった。これにより、ホール開口部と底部のCu^+イオン濃度差が大きくなり、電解時にCu^+濃度の高いホール底部を優先的にめっきすることを可能にした。 1) T. Hayashi et al., ECS, 160, D1 (2013)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載したシミュレーション方法はモンテカルロシミュレーションを想定していたが、新たにマルチフィジックス解析を可能にするシミュレーションソフトCOMSOL Multiphysicsを用いた。シミュレーション結果より、めっき反応中に生成される中間体であるCu^+イオンの生成メカニズムについて明らかにした。この結果はホール内部充填の析出機構を明らかにする重要な知見となる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、めっき中に生成されたCu^+イオンとめっきに用いられる促進剤、抑制剤といった添加剤との相互作用を実験的に明らかにする。実験方法としては、溝底のみに電極を有するスルーマスク電極や回転リングティスク電極を用いて電気化学測定を行い、得られた結果から反応メカニズムを提案する。また、本年度のシミュレーションと組み合わせることにより、ホール内部の局所な反応メカニズムの違い(ホール開口部、中部、底部等の違い)を明らかにする。本研究の実現により、めっきによるホール充填の選択的析出制御の向上を可能にする。
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