2012 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ体液因子Promoting Proteinによる脂肪細胞分化誘導機構の解明
Project/Area Number |
12J10784
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安達 健朗 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | Promoting Protein / 脂肪蓄積 / 3T3-L1 / コレステロール結合 / NPC2 |
Research Abstract |
1.NPC2タンパク質が関与する分化誘導機構の哺乳類における保存性を理解するため、マウスNPC2タンパク質を作出しマウスにおいて確立されている脂肪細胞分化モデル3T3-L1を用いてin vitroの脂肪細胞分化に与える影響を検討した。その結果、マウスNPC2タンパク質が分化誘導の初期段階において既存の分化誘導刺激の効果を促進する活性を有することを見出した。さらにカイコPromting Protein/BmNPC2タンパク質がマウス3T3-L1細胞の脂肪細胞関連遺伝子の発現を上昇させ、マウスNPC2タンパク質がカイコBmN4細胞の脂肪細胞関連遺伝子発現の上昇を引き起こす事を明らかにした。これらの結果はPromtin gProtein/NPC2タンパク質による脂肪細胞の分化制御機構が生物種間に置いて広く保存されている事を示唆する。 2.Promoting Protein/NPC2タンパク質が細胞の脂肪蓄積と遺伝子発現を制御する分子機構を明らかにする上で、NPC2タンパク質において既に知られているi)マンノース6リン酸受容体への結合および細胞内への移行、ii)コレステロールへの結合が遺伝子発現ならびに脂肪蓄積の上昇に与える影響を検討した。まず細胞外から添加したPromoting ProteinはカイコBmN4細胞に取り込まれる事が確認された。そしてマンノース6リン酸の添加によってその取り込みが阻害されるとともに、Promoting Proteinによる脂肪蓄積の促進が打ち消される事を見出した。また、コレステロール結合に必要なアミノ酸残基に変異を持つリコンビナントPromoting Proteinを作出したところ、この変異によっては細胞分化誘導活性を失われない事が明らかとなった。これらの結果はNPC2に関してもっともよく研究されているコレステロール結合能が、脂肪蓄積量を変化させる活性には必要でない事を示唆しており、細胞外に存在するNPC2タンパク質の新しい機能を提示するものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標であった1.NPC2に関する既知の知見が脂肪蓄積に与える影響の検証ならびに2.昆虫及び哺乳類における保存性の理解がともに達成された事から当初の研究計画通り順調に伸展していると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
Promoting Protein/NPC2タンパク質が細胞の脂肪蓄積を上昇させる分子機構について、細胞内で起きている現象を詳細に検討する。今後は既知の知見を参照するだけでなく、相互作用因子の探索やある程度網羅的な細胞内リン酸化シグナル伝達の解析によってNPC2タンパク質が有する新しい分子機構の提案を目指す。 また、昆虫および哺乳類個体を用いて発生、摂食がNPC2タンパク質の発現量に与える影響を調べ、個体の脂肪蓄積に置けるNPC2タンパク質の重要性を明らかにする。
|
Research Products
(2 results)