2012 Fiscal Year Annual Research Report
月裏側SPA盆地の鉱物・岩石分布から推定する月マントル組成
Project/Area Number |
12J10821
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上本 季更 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 月 / 盆地 / South Pole-Aitken / インパクトメルト / 鉱物 / 地形 / マントル / 元素・鉱物組成 |
Research Abstract |
最大の衝突盆地South Pole-Aitken (SPA盆地)の初めてとなる鉱物・岩石分布マップを完成させ、このマップからSPA形成時の衝突による地殻掘削領域、インパクトメルトプールの分布と深さ、衝突の入射方向および角度によるおおよその形状を推定する。これと、本研究により得られた鉱物分布から算出したメルトの組成を用いて、未だ明らかにされていない月マントルの組成を解明し、月の成因および進化の議論に繋げる事を目的とし、研究を進めてきた。具体的な手順は、下記の通りである。 1.地殻を構成する主要岩石である斜長岩のSPA盆地内でのマッピングを行い、SPA盆地形成時の地殻の掘削領域を明らかにする。2.マントル由来と考えられる苦鉄質に富む岩石のマッピングを行い、SPA盆地内全域の鉱物・岩石分布図を作成する。3.1、2から、SPA盆地形成直後の構造復元を行い、下部地殻やマントル物質の露出範囲および衝突によって形成された衝突溶融物が大量に形成・集積したと考えられるインパクトメルトプールの分布領域を推定する。4.3と最新のクレーター形成モデルを比較することにより、インパクトメルトプールの深さや形状などの三次元的構造を明らかにする。また、インパクトメルトプールの組成をさらに詳細に把握する。5.下部地殻、月マントル物質の元素・鉱物組成の推定を行う。 上記手順のうち、現時点では1-3を完了している。現在は、これまでに得られたデータを基に、近年提案されているSPA盆地は斜め衝突により形成されたとする説についても考慮し、他の研究者らによる最新の衝突シミュレーションや過去のクレーター形成論に基づき、3で位置および露出範囲を推定したSPA盆地のインパクトメルトの、深さおよび形状の推測を進めている段階である。インパクトメルトプールの深さや形状を把握することにより、SPA盆地形成により溶融・撹拌された地下領域の深さや体積推定が可能となり、次にその元素・鉱物組成を用いて、溶融領域のSPA形成以前の構造(組成および組成の深さ方向変化)を復元する事により月マントルの元素・鉱物組成の推定を行う予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書に記載した目的および研究手順に対しては順調に進めているが、研究の進展に伴い、新たに出された他研究者による研究成果を本研究に反映させる必要が出てきている。一方で、妊娠による体調不良や産休により、当初予定に比べ研究進捗はやや遅れ気味になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これからも交付申請書に基づき研究を進めていく予定である。具体的には、インパクトメルトプールの三次元的構造を推定し、現状のインパクトメルトプール分布領域および地殻の組成推定値と合わせる事により、溶融領域のSPA形成以前の構造を復元し、月マントルの組成の推定を行う。さらに得られた月マントル組成を地球マントルと比較してその違いや関係性を見出し、巨大衝突説について考察する予定。 なお、平成24年10月より6ヶ月産休および育児休暇をとり、その後6ヶ月を復帰準備期間とする。復帰後は中断した時点から研究を再開し、子育てと同時に研究ができるよう環境を整え、計画通り目的を遂行する予定である。
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Research Products
(1 results)