2012 Fiscal Year Annual Research Report
高次HochschildホモロジーとGoodwillie 微積分
Project/Area Number |
12J10827
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
内藤 貴仁 信州大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | Hochschiホモロジー / 自由ループ空間 / ストリングトポロジー / Gorenstein空間 |
Research Abstract |
Chas-Sullivanによって創始されたストリングトポロジーの理論は,Felix-Thomasによって,Gorenstein空間と呼ばれる位相空間のクラスでも展開出来る事が示されている.ここでGorenstein空間とは,向き付けらた閉多様体や,コンパクト連結Lie群の分類空間,Bore1構成といった空間を含むクラスを成している.Gorenstein空間のストリング作用素によって,自由ループ空間のホモロジーが2次元の位相的量子場の理論,つまり可換なFrobenius代数構造をもつかという問いがFelix-Thomasによって提示された.特に,この代数構造の結合性や可換性が問題となり,Gorenstein空間の次元に関する定数倍を除いて満たす事が予想されるが未解決な問題である. 本年度の研究成果として,係数体が有理数体の時に,ループ積及びループ余積の結合性及びFrobenius恒等式と呼ばれる関係式に対し,上記の予想の肯定的な解決を得た.特に,その定数は多様体の時に現れる既知の定数と一致する事からも自然なものである事は分かる.この結果により,上記のFelix-Thomasの問いの1つの解決方法を提示する事が出来た.また有理ホモトピー論を用いて,この代数構造の自明,非自明性についても考察を行った.その結果,外積代数を有理モデルにもつGorenstein空間の代数構造は非自明,余代数構造は自明,多項式代数を有理モデルにもつ場合は,代数構造は自明,余代数構造は非自明という結論を得た.また有理モデルがpureという条件を持つ場合にも考察を行った. 更に,複素射影空間のあるBore1構成の上の,代数構造及び余代数構造が共に非自明である事を導いた.これはTamanoi氏の多様体上の上記の余代数構造はほとんど自明であるという結果が一般のGorenstein空間では成立しない事を意味している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究にあたってGoodwillie微積分とストリングトポロジーとの関係を考察した時、ストリングトポロジーの理論において解決すべき問題があった.その解決に臨んだ結果,Goodwillie微積分に関する研究の進展が遅れてしまっている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では,ストリングトポロジーとの関係に注意しつつ,Goodwillie微積分に関する研究を行う.特に,(高次)HochschildホモロジーのTaylor towerを構成し,そのtowerにストリング作用素がどの程度反映されるかについて考察を行っていく.その際,これまでの研究で行ってきた,有理ホモトピー論を用いたGorenstein空間のストリングトポロジーに関する仕事が役立つ事が期待される.またtowerを構成した後は,具体例について計算を行っていく.手法としては,構成したtowerが導来関手を用いて記述出来ないか,または有理ホモトピー論を用いたアプローチを行う.
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Research Products
(9 results)