2013 Fiscal Year Annual Research Report
ネムリユスリカの極限乾燥耐性に関わる新規ストレスタンパク質の機能解析
Project/Area Number |
12J10847
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
畑中 理恵 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫機能研究開発ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | LEAタンパク質 / 乾燥耐性 / ネムリユスリカ / 抗凝集活性 |
Research Abstract |
本研究はネムリユスリカの極限乾燥耐性の分子機構解明を目指し、新規ストレスタンパク質「PvLEA」の網羅的な機能解析により極限乾燥耐性におけるPvLEAの生理・生化学および物理化学的役割を明らかにすることを目的とする。本年度は、ネムリユスリカのLEAタンパク質(PvLEA)のうち、PvLEA4の物理化学、生化学解析を行い、データをまとめて国際誌に投稿した。この論文では、PvLEA4が、乾燥により形成される変性タンパク質の集合を物理的に妨げることで、凝集塊のサイズを小さく抑えることを報告した。 PvLEA4は、安定化剤として使用されることの多いBSAやトレハロースよりも高い抗凝集効果を示すことが明らかとなった。PvLEAタンパク質の酵素保護活性および抗凝集活性の測定方法を確立できたことで、今後複数のPvLEAタンパク質の活性を測定し、比較が可能になると考えられる。PvLEA4の活性を基準にして他のPvLEAタンパク質の機能を評価するために、PvLEA4以外のPvLEA組換えタンパク質を数十種類作製した。 一方、PvLEAタンパク質の細胞での機能を評価するために、PvLEAを発現させた大腸菌を乾燥して一定期間の後に再び培養し、その増殖率を測定した。この実験では、発現しているPvLEAタンパク質の種類により、大腸菌の各ストレスに対する耐性の程度が異なる傾向が認められた。このことから、PvLEAタンパク質毎に異なる機能を有する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ネムリユスリカLEAタンパク質の一つ、PvLEA4の物理化学および生化学解析を終了し、論文としてまとめて国際誌に投稿、受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ネムリユスリカLEAタンパク質PvLEAを、乾燥耐性をもたない哺乳動物細胞の一つであるCHO細胞で発現させ、細胞にストレス耐性を付与できるかどうかを検討する。CHO細胞で発現させるPvLEAは、単独あるいは複数種類の組み合わせを試験する。細胞にストレスを与えるため、脱水時に起こる浸透圧や塩濃度の上昇、酸化的環境を模倣した条件(高浸透圧培地、高塩濃度培地、酸化剤添加培地)で培養し、培養後の生存率からPvLEAの耐性付与能力を評価する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] An abundant LEA protein in the anhydrobiotic midge, PvLEA4, acts as a molecular shield by limiting growth of aggregating protein particles2013
Author(s)
Rie Hatanaka, Yuka Hagiwara-Komoda, Takao Furuki, Yasushi Kanamori, Mika Fujita, Richard Cornette, Minoru Sakurai, Takashi Okuda, Takahiro Kikawada
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Journal Title
Insect Biochemistry and Molecular Biology
Volume: 43
Pages: 1055-1067
DOI
Peer Reviewed
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