2012 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血におけるアストロサイトの活動およびニューロンや血管との相互作用の解明
Project/Area Number |
12J10890
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇治田 早紀子 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | グリア細胞 / 光学イメージング / 脳虚血 |
Research Abstract |
申請研究では、グリア細胞の一種であるアストロサイトについて、脳虚血時の変化に着目している。アストロサイトは活発に細胞内カルシウム濃度変動(カルシウム活動)を起こすことが知られている。本研究では、このアストロサイトのカルシウム活動の観察により、虚血状態における機能の変化を解明することで、システムレベルの研究を目指している。 本年度は、アストロサイトのカルシウム活動について、大規模にイメージングを行った。従来の研究では数十個のアストロサイトについて、10-20分程度の記録を行うに留まっていたが、本研究では1時間にわたり、200以上のアストロサイトについてイメージングすることに成功している。この大規模イメージングのデータを用いて、まずアストロサイトのカルシウム活動について基本的な特徴を把握するための解析を行った。具体的には、カルシウム活動の時間軸に沿ったパターンに着目した。その結果、一部のアストロサイトが特徴的な周期的活動を示すことが分かり、この活動の時空間的特徴と、細胞間・細胞内伝播を明らかとした。この際に、次年度の布石となる高倍対物レンズを用いた微細構造イメージングを行った。 これらの成果を、権威ある国際学会であるゴードン会議にて発表したほか、国内学会のシンポジウムで口頭発表した。 そのほか、共同研究を通してニューロンの活動記録法を新規に習得したほか、アストロサイトの活動をより生理的条件下で見るべく生体動物におけるイメージング技術を学んだ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定である大規模イメージングについて、解析法の習得を含め順調に進展したほか、次年度の布石となる微細構造イメージングを開始できたから。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、微細構造イメージング法を確立させるほか、虚血時における変化そのものを観察することが挙げられる。 微細構造イメージングについては、蛍光試薬の注入のみならず、遺伝子改変動物の使用が非常に有効であるため、もし蛍光試薬による可視化が困難な場合、後者を対応策として検討する。
|
Research Products
(5 results)