2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J10915
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
大塚 行誠 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | チベット・ビルマ語派 / 言語学 / アショー・チン語 / 文法記述 / クキ・チン語支 / ミャンマー / 記述言語学 |
Research Abstract |
平成24年度は,主にミャンマー連邦でのフィールドワークを通して,アショー・チン語(チベット・ビルマ語派クキ・チン語支南部チン語群)のデータおよび関連文献の収集に努めた。 2012年の5月に1週間,7月に2週間,8月から9月にかけて1か月,そして2013年の1月に3週間, ミャンマー連邦のヤンゴン市に滞在して基礎的な言語調査を行った。ヤンゴン市内では,アショー・チン語話者のキリスト教団体AshoChinBaptistConferenceとアショー・チン言語文化委員会を訪問し,調査の計画と方法,および調査結果の現地話者コミュニティーへの還元方法について話し合った。また,言語調査に協力して下さる話者の方を紹介していただき,アショー・チン語基礎語彙の調査をはじめ,言語使用状況に関するインタビュー,アショー・チン文字の習得,エリシテーションによる文例収集,アショー・チン語による物語の録音と書き起こし,アショー・チン語話者の多く住む村(ヤカイン州南部)への訪問を行った。今後,調査結果を順次公開していく予定である。 更に,アショー・チン語の周辺言語である,ミゾ語(中部チン語群)の記述言語学的な調査と習得を目的として9月下旬から12月下旬にかけてインド共和国ミゾラム州のアイゾール市に渡航・滞在した。クキ・チン語支に属する諸言語は,北部チン語群,中部チン語群,南部チン語群という3種類のグループに大きく分かれる。博士課程ではティディム・チン語という北部チン語群の言語を専門として研究してきたため,既に北部チン語群の言語を研究する上で充分なデータは手元にある。しかし,中部チン語群の言語学的手法に則ったデータは乏しく,今後南部チン語群(アショー・チン語)の研究も併せてクキ・チン語支の包括的な研究を進めていく為には中部チン語群の言語を調査することも必要だと考えた。そこで,ミゾラム大学ミゾ語科の受け入れのもと,ミゾ語の基礎語彙調査,文例収集と言語資料の収集を行うことにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,ミャンマー連邦のヤンゴン市とヤカイン州で主にアショー・チン語(南部チン語群)の言語調査を行った。また,インドのミゾラム州でも長期間にわたるフィールドワークを行い,アショー・チン語の周辺言語であるミゾ語(中部チン語群)の語彙調査と簡単な文法調査を行った。アショー・チン語の文法を記述する上で必要な言語データが収集できて,今後のクキ・チン語支の包括的な研究に必要なデータを収集した点において,研究がおおむね順調に進展したと言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の現地調査で得られたアショー・チン語のデータの管理と分析を行い,言語学に関係する研究者から指導や助言,あるいは他の文法記述を基にアショー・チン語文法書の内容や構成を検討したいと考えている。また,調査あるいは分析の途中で言語学的に興味深い現象が見られた場合には,関連する国際学会で発表し,各種論集への論文投稿も積極的に行っていきたいと考えている。なお,不足している言語データを収集する為,夏季に2カ月程度フィールドワークを実施する予定である。
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Research Products
(1 results)