2012 Fiscal Year Annual Research Report
天然由来の温度感受性TRP受容体アゴニストとアンタゴニスト
Project/Area Number |
12J10919
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
寺田 祐子 静岡県立大学, 薬食生命科学総合学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 温度感受性TRP受容体 / TRPV1 / TRPA1 / TRPV2 / TRPV3 |
Research Abstract |
①TRPA1・TRPV1アゴニストの探索 : 平成23年度までの研究で、ドリアン中のスルフィド(diethyl disulfide, diethyl trisulfide)にTRPA1・TRPV1活性のあることを見出した。本年度は、上記に示したsulfide 以外で、ドリアンに含まれるsulfide化合物6種についてTRPA1-TRPV1活性を測定すると共に、簡易な構造・活性相関研究を行った。またドリアンsulfideのTRPA1・TRPV1以外のTRP (V2, V3, M8)に対する活性・阻害活性を測定し、TRPに対する選択性を調べた。その結果、ドリアンsulfideはTRPV2, V3, M8には作用せず、TRPA1・TRPV1に対してのみアゴニストとして作用することがわかった。 ②TRPV1アンタゴニストの探索、阻様様式と阻害する刺激の選択性(阻害特性)の解析 : カプサイシン受容体TRPV1は、カプサイシン・熱・酸刺激により活性化する受容体である。平成23年度までに、Voacanga africana由来アルカロイドVoacangineがTRPV1において、カプサイシンを競合阻害することを明らかにした。本年度はVbacangineのTRPV1における熱・酸阻害作用を調べた。そのためにまず、TRPVl発現細胞と蛍光プレートリーダーFlex stationを用いて、熱・酸によるTRPV1活性評価系を確立した。確立した測定系を用いてVoacangineの熱・酸に対する阻害作用を調べたところ、Voacangineは熱による活性化のみ阻害し、酸による応答を抑制しないことがわかった。これらの結果からVbacangineは、TRPV1においてカプサイシンと熱を選択的に阻害する特性をもつことが明らかになった。 ③TRPV2・TRPV3発現細胞株の樹立と活性測定系の確立 : TRPV2・TRPV3に対する新規のアゴニスト・アンタゴニストを探索するために、TRPV2・TRPV3受容体発現細胞を用いた活性評価系を確立した。TRPV2については、一過的発現細胞を、TRPV3にっいては安定発現細胞を用い、最適なポジティブコントロール(アゴニスト・アンタゴニスト)と培養条件を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
一年目に計画していたTRPM8アゴニスト探索は遅れているものの、一年目の計画であるTRPV1・TRPA1アゴニストの探索に加え、二年目に計画しているTRPV1アンタゴニストの探索と阻害選択性の解析、三年目に計画しているTRPV2・TRPV3受容体発現細胞を用いた活性評価系の確立を、既に終えているため。
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Strategy for Future Research Activity |
①温度感受性TRP受容体に対するアゴニスト・アンタゴニストの探索 温熱性食品・寒冷性食品・薬草の抽出エキスについて、mouse TRPM8・human TRPA1・TRPV1・TRPV2・TRPV3活性・阻害活性を測定する。作用の見られたサンプルは、各種クロマトグラフィーを用いて精製し、NMRや質量分析により、アゴニスト・アンタゴニストの構造を決定する。見いだしたアゴニスト・アンタゴニストは、各TRP受容体(M8・A1・V1・V2・V3)に対する選択性を明らかにする。また類縁化合物を用いて構造-活性相関研究を行い、TRP活性・阻害活性に重要な構造を調べる。 これまで本研究室では、mouse TRPM8発現細胞を用いていたが、human TRPM8に対するアゴニスト・アンタゴニストを探索するために、human TRPM8発現細胞の樹立と活性評価系の確立を行う。加えてhuman TRPV4に対する作用物質を探索することを目的として、human TRPV4発現細胞の樹立と活性評価系の確立も行う。 ②Voacanga africana由来アルカロイドVoacangineのThermo-TRPsに対する作用の解析 これまでの研究で、VoacangineがTRPV1において、カプサイシンと熱を選択的に阻害する特性を持つことを明らかにした。これまでに複数のTRP受容体に作用するアゴニスト・アンタゴニストが報告されていることから、VoacangineのTRPV1以外のTRP受容体(M8・A1・V2・V3)に対する活性・阻害活性を調べる。阻害活性が認められた場合は、阻害する刺激の選択性(温度刺激、化学アゴニストに対する阻害作用)を明らかにする。
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Research Products
(8 results)