2013 Fiscal Year Annual Research Report
天然由来の温度感受性TRP受容体アゴニストとアンタゴニスト
Project/Area Number |
12J10919
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
寺田 祐子 静岡県立大学, 薬食生命科学総合学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 温度感受性TRP受容体 / TRPV1 / TRPA1 / TRPM8 / TRPV4 |
Research Abstract |
①TRP 受容体に対するアゴニストの探索 : ワサビ中の辛味成分Allyl isothiocyanateと、その類縁isothiocyanate化合物18種についてTRPA1・TRPV1活性を測定し、構造-活性相関研究を行った。Allyl isothiocyanateは強い辛味を呈するが、低辛味でありながらAllyli sothiocyanateよりも高いTRPA1・TRPV1活性を示すisothiocyanate化合物を、2成分見出した。 ②TRP 受容体に対するアンタゴニストの探索 : 平成24年度までの研究で、Voacanga africana由来アルカロイドVoacangaが、TRPV1のアンタゴニストであることを明らかにした。本年度は、VoacangineのTRPV1以外のTRP受容体に対する作用を調べた。その結果、VoacangineはTRPM8においてアンタゴニスト、TRPA1においてアゴニストとして作用することが判明した。TRPM8阻害作用について詳細な解析を行い、VoacangineはTRPM8においてmentholを競合的に阻害すること、icihnを非競合的に阻害することを明らかにした。また阻害する刺激の選択性を調べた結果、TRPM8において低温による活性化を阻害せず、化学アゴニストを選択的に阻害することが判明した。 ③human TRPM8・TRPV4発現細胞株の樹立と活性測定系の確立 : human TRPM8・TRPV4に対する新規のアゴニスト・アンタゴニストを探索するために、TRPM8・TRPV4発現細胞を用いた活性評価系の確立を行った。TRPM8・TRPV4のそれぞれの安定発現細胞を取得し、ポジティブコントロールにTRPM8はmenthol, icilin、TRPV4は4α-PDDを、アンタゴニストにTRPM8はBCTC、TRPV4はruthenium redを用いる測定系を確立した。これにより、全ての主要なhuman温度感受性TRP (V1, V2, V3, V4, A1, M8)について活性評価系をそろえることができ、今後新たに見出したTRP作用成分について、TRPに対する選択性を調べることができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
TRP受容体に対するアゴニストの探索に加え、TRPに対するアンタゴニストの探索と阻害選択性の解析の解析が順調に進んでいる。またhuman TRPV8・TRPV4受容体発現細胞を用いた活性評価系の確立し、全ての主要なhuman温度感受性TRP (V1, V2, V3, V4, A1, M8)について、活性評価系をそろえることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
①温度感受性TRP受容体に対するアゴニストの探索 これまでに確立したTRP発現細胞による活性評価系を用い、各TRP受容体(V1, V2, V3, V4, A1, M8)に対する新規のアゴニストを天然から探索する。新規作用成分の探索は、伝承医療に用いられる食品・薬草類をターゲットとし、食品・薬草類の熱水・ヘキサン・酢酸エチル・メタノールの各抽出画分から、スクリーニングを行う。各抽出画分のTRP受容体活性は、TRP受容体のうち一つを発現させた培養細胞を用い、カルシウムイメージング法により評価する。活性の認められた抽出画分は、各種クロマトグラフィーを用いて精製し、NMRや質量分析により、アゴニストの構造を決定する。 ②温度感受性TRP受容体に対するアンタゴニストの探索 アゴニストの探索と同様に、食品・薬草類の熱水・ヘキサン・酢酸エチル・メタノールの各抽出画分から、TRP受容体(V1, V2, V3, V4, A1, M8)に対する新規のアンタゴニストを探索する。見いだしたアンタゴニストは、主要な化学アゴニストに対する阻害様式(競合・非競合)を解析する。さらに阻害する刺激の選択性(化学アゴニスト・温度刺激に対する阻害)も明らかにする。 ③婦人科がんにおける温度感受性TRPの機能解析 新たな取り組みとして、温度感受性TRP受容体10種(TRPV1, V2, V3, V4, A1, M2, M3, M4, M5, M8)の婦人科がん(卵巣がん・乳がん・子宮がん)における生理機能を調べる。具体的には、婦人科がんにおいて発現が変化する温度感受性TRPを調べ、続いてTRPの発現の有無、アゴニスト・アンタゴニストの投与が、がん細胞の増殖・薬剤感受性を変化させるか明らかにする。
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Research Products
(8 results)