2012 Fiscal Year Annual Research Report
界面電子移動過程の制御に基づくユビキタス元素利用多電子移動触媒の開発
Project/Area Number |
12J10938
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
高嶋 敏宏 山梨大学, クリーンエネルギー研究センター, 助教
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Keywords | 多電子移動反応 / 電気化学 / 振動分光 / 反応機構 |
Research Abstract |
エネルギー変換反応において多電子移動反応は重要な役割を果たすことが知られているが、一方でその反応機構に対する理解の不足が高活性な触媒の開発を妨げている。そこで本研究では電気化学測定と分光測定を同時に測定することにより多電子移動反応の反応機構の検討を行った。具体的にはシリコンプリズムや金の表面を多電子移動触媒で被覆した電極材料を作成し、反応駆動下の電極触媒に全反射型赤外吸収分光や表面増強ラマン散乱分光などの振動分光を適用する測定手法を開発し、測定を行った。その結果、酸化マンガン表面では酸素発生条件下において水分子の水素結合状態が変化し、水素結合のネットワークを持たない孤立した水分子の割合が増加することを見出した。酸素発生反応生化学的な見地からも注目の高い反応であり、水分子のプロトンネットワークの反応への関与を示す同結果は自然界との比較からも示す興味深い知見であると考えている。また、同触媒上でメタノール酸化を行った場合には塩基性条件下においてのみ触媒表面へのメタノールの吸着が強く生じ、同時に酸化のための過電圧が大幅に減少することを明らかにした。この結果は今後酸性などの他条件下での活性向上に向けて材料設計の指針を与えるものと考えている。電気化学と振動分光を組み合わせた同様な研究は以前から報告されているが、それらのほとんどは単結晶金属の表面を利用したものに限られていた。それに対して、本研究で開発した手法は金属酸化物など多様な触媒に適用可能である。したがって、今後元素戦略上重要な種々の多電子移動触媒の反応機構を解明する上で有用な手法となると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究では酸化マンガン電極上での反応過程を電気化学的手法および振動分光学的手法の両方を用いて同時観察することに成功し、反応の進行に応じた界面分子の結合状態についての情報が得られていることから、おおむね計画通りに進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は反応開始電位に変化が生じるような化学修飾を触媒表面に施し、振動分光を用いた観測でそれに追随して変化する挙動を明らかにする。これにより振動分光で観測されている変化が界面で起こっている反応のどのような過程に対応するのかを検討し、その結果から過電圧減少に向けた方法を見出す。
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Research Products
(1 results)