2013 Fiscal Year Annual Research Report
主要針葉樹のテルペン類放出速度の定量化と気候変動がその放出に及ぼす影響の評価
Project/Area Number |
12J10958
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
望月 智貴 静岡県立大学, 大学院生活健康科学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 生物起源揮発性有機化合物(BVOC) / 少花粉スギ / 土壌体積含水率 / 高濃度CO_2曝露 / BVOC放出と含有量 |
Research Abstract |
■ 長期の高濃度CO_2曝露が少花粉スギのテルペン類含有量と放出速度に及ぼす影響 オープントップチャンバー(以下OTC)を用いて長期の高濃度CO_2曝露が少花粉スギのテルペン類含有量と放出速度に及ぼす影響を調査した。少花粉スギは個体間差をできるだけ小さくするため、同一株の挿し木クローンを用いた。樹高50cm、2年生の苗木を用いた。OTCは全8区とし、大気区(大気をそのままOTC内へ取り込んだ条件)とCO_2区(CO_2を添加して濃度約1000ppmにした空気をOTC内へ供給した条件)をそれぞれ4区設置した。1区あたり4個体のスギを定植した。4月30日から10月6日まで160日間、CO_2曝露を行った。テルペン類含有量は5月上旬(曝露前)と10月上旬(曝露後)に測定した。テルペン類放出速度は7月中旬から8月上旬(曝露中)と9月下旬(曝露後)に測定した。 結果①(テルペン類含有量) 曝露前より曝露後のほうがモノテルペン、含酸素モノテルペン、セスキテルペン、セスキテルペンアルコール、ジテルペンの含有量は小さくなった。これは、曝露前(春)と曝露後(秋)の季節間差であると考える。曝露後について、大気区とCO_2区の間にテルペン類含有量に有意差はなかった。 結果②(テルペン類放出速度) モノテルペン放出速度は温度と土壌体積含水率と正の相関があり、それら環境影響を組み込んだスギのモノテルペン放出モデル式を開発した。温度と土壌体積含水率の影響を標準化した条件で、大気区とCO_2区のモノテルペン放出速度を比較したところ、両者の間に有意差はなかった。 結論 少花粉スギへの長期CO_2曝露はテルペン類の含有量と放出速度に影響を及ぼさなかった。モノテルペン放出速度は温度と土壌体積含水率が影響し、この温度-土壌体積含水率-モノテルペン放出速度の関係を新たな植物からのモノテルペン放出モデルとして提案する。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(4 results)