2013 Fiscal Year Annual Research Report
カリウムチャネル活性を高感度に検出する複合型カリウムプローブの創製
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12J11023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平田 智也 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 蛍光プローブ / カリウムイオン / イメージング |
Research Abstract |
【1】細胞膜上に集積可能なK^+プローブの応用 : 細胞同士が密に接近し、外液の体積が少ない組織切片などのモデル系として、まずCa^<2+>依存性K^+チャネルの一種であるBKチャネルを発現するヒトがん細胞の一種であるHT29-luc細胞を用いた実験を行った。具体的には、HaloTagタンパク質を遺伝子導入してTLShaloで標識し、Ca^<2+> ionophoreであるionomycinでCa^<2+>流入刺激を与えることで、カバーガラスにより細胞外液量を限局した条件下でのK^+流出を検出することに成功した。また、K^+チャネル活動のモデル系として落射顕微鏡下でマイクロインジェクション装置を用いて、TLShaloで標識した細胞の細胞膜近傍にごく少量のK^+溶液の添加実験を行った。その結果、添加位置からK^+が細胞膜近傍を拡散していく様子をリアルタイムで蛍光イメージングすることに成功した。これらにより、TLShaloを用いて実際に細胞膜近傍における局所的なK^+濃度変化を検出可能なことを実験的に示すという大きな成果を達成した。 【2】脳切片でのK^+イメージングを指向した2光子励起K^+プローブの開発 : 前年度までに開発した2光子励起型K^+プローブTP1はK^+濃度変化に対する蛍光増加量が比較的小さく、また細胞系における局在の制御にも難があったため、K^+キレーター、蛍光団、水溶性部位の配置を変えた新たなK^+プローブTP2を設計・合成し評価した。TP2については、K^+に対する応答性には改善が見られたものの、依然として変化量が小さく、また細胞外滞留性についても改善の余地が残るものであった。TP1,2および類縁体のスペクトル測定における種々の検討より、キレーター部分の高い脂溶性がK^+プローブとしての機能発現を妨げていることが示唆されたため、キレーター部分の水溶性向上について検討を進め、現在までに構造修飾の可能なキレーター構造の合成スキームをほぼ確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
細胞膜局在型のK^+プローブについて、細胞レベルでのK^+やイメージングにおける有用性を示す実験結果を取得し、更なる高感度化に向けた具体的なアプローチを設定できたため。また、組織イメージングを指向した実用的なK^+プローブ開発についても、複数のK^+プローブ候補の合成と評価を通じた物性の精査により必要な構造的要件を見出すとともに、汎用性のあるキレーター構築による今後の展開の素地を築くことが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
【1】現在、BKチャネルの開口によるK^+流出の直接的可視化を目指して、BKチャネルに直接HaloTagタンパク質を融合させ、これを細胞に発現させてTLShaloで直接標識することで検討を行っている。現在までにコンストラクト作成を終えており、今後チャネルとしての機能の評価や、TLShalo染色によるチャネル活性の蛍光イメージングに関する検討を行っていく予定である。 【2】現在までに構造修飾の可能なキレーター構造の合成スキームをほぼ確立しており、来年度以降にはこれを用いた長波長K^+プローブや2光子励起に適したK^+プローブ、細胞内K^+測定用K^+プローブなど、多様なK^+プローブの合成と評価が可能となり、当初の目的以上の成果が強く期待されるものである。
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Research Products
(4 results)