2012 Fiscal Year Annual Research Report
高頻度組換え部位形成の情報基盤:DNA物性から謎を解く
Project/Area Number |
12J11069
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
三浦 理 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 減数分裂期組換え / 高頻度組換え部位 / DNA物性 / 減数分裂 / クロマチン / 遺伝情報 |
Research Abstract |
減数分裂期において形成される高頻度組換え部位に、塩基配列の共通性は無いことが知られている。そこで、高頻度組換え部位がゲノム上の特定の領域に形成される分子基盤を明らかにするために、出芽酵母で明らかにされた3,604箇所の二本鎖DNAの高頻度切断部位(Pan et al., 2011)、分裂酵母で明らかにされた236箇所の二本鎖DNAの高頻度切断部位(Hyppa et al., 2008)、及びマウスで明らかにされた9,874箇所の二本鎖DNAの高頻度切断部位(Smagulova et al., 2011)を対象として、柔軟性のコンピュータ解析を行った。その結果、出芽酵母と分裂酵母の二本鎖DNAの高頻度切断部位は周辺領域に比べて極めて硬い物性を持つ傾向があるが、マウスの場合、逆に、周辺領域に比べて極めて柔らかい物性を持つ傾向があることが判明した。また、出芽酵母では、より硬い部位ほど、より高頻度に切断されやすい傾向があることも示唆された。この結果は、DNAの物性が高頻度組換え部位形成に積極的に関与している可能性を示唆している。更に現在、二本鎖DNAの安定性やタンパク質による変形能のコンピュータ解析も並行して進めており、予備的ではあるがこれまでの解析で、二本鎖DNAの高頻度切断部位はこれらに関しても特徴的な性質を示すことが示唆された。なお、コンピュータ解析には、独自に開発したコンピュータプログラム(GEN07及びMIU12)を使用している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
DNAの物性が高頻度組換え部位形成に積極的に関与している可能性を示唆する結果を得たことに加えて、予備的ではあるがこれまでの解析で、高頻度組換え部位はDNAの二本鎖安定性やタンパク質による変形能に関しても特徴的な性質を示すことを示唆する結果を得たため。これらは、共通するコンセンサス配列がない高頻度組換え部位が、ゲノム上の特定の領域に形成される理由を解明するための有力な手がかりとなる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析で明らかになった二本鎖DNAの高頻度切断部位に特徴的なDNA構造特性の他に、クロマチン構造(ヌクレオソームの配置(Pan et al., 2011)も考慮に入れてより詳細な理論解析を進めることにより、クロマチン内で高頻度組換え部位が形成される分子基盤を明らかにする。また、現在、DNAの特性がDNAの形体に反映しているか否かを検討するための原子間力顕微鏡を用いた実験解析も並行して行っており、引き続き解析を進める。
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