2013 Fiscal Year Annual Research Report
高頻度組換え部位形成の情報基盤:DNA物性から謎を解く
Project/Area Number |
12J11069
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
三浦 理 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 減数分裂期組換え部位 / 高頻度組換え部位 / DNA物性 / 減数分裂 / クロマチン / 遺伝情報 |
Research Abstract |
遺伝情報は、DNAの高次構造や物性にも"印"されている。このような情報はまだほとんど解明されていない。そこで、この問題を追求するための研究の一環として、共通する塩基配列が見出されていない減数分裂期の高頻度組換え部位に注目し、このような部位がゲノムの特定の領域に形成される分子基盤を解明するための解析を行なった。減数分裂期におけるDNAの組換えは、二本鎖DNAの切断から始まる。そこで前年度に引き続き、高頻度切断部位のDNA物性を解析した。具体的には、出芽酵母で明らかにされた高頻度切断部位(Pan et al.,2011)、分裂酵母で明らかにされた高頻度切断部位(Hyppa et al.,2008)およびマウスで明らかにされた高頻度切断部位(Smagulova et al.,2011)を対象として、二本鎖DNAの崩壊エネルギーおよびタンパク質による変形能について調べた。そして、これらの生物の高頻度切断部位は、その崩壊エネルギーが周辺領城に比べて高いことを明らかにした。また、出芽酵母と分裂酵母の高頻度切断部位は周辺領域に比べてタンパク質による変形に抵抗性を示すが、マウスでは逆に周辺領域に比べて変形しやすいことを解明した。前年度と本年度の解析により、特徴的なDNA物性をもつことが高頻度組換え部位形成の情報基盤のひとつであることが示唆された。なお、コンピュータ解析には独自に開発したコンピュータプログラム(GENO7、MIUdde. ver12およびMIUpid. ver12)を使用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
二本鎖DNAの崩壊エネルギーおよびタンパク質による変形能が減数分裂期における高頻度組換え部位形成に関与していることを示唆する結果が得られたため。これらは、共通する塩基配列が見出されていない高頻度組換え部位が、なぜゲノムの特定の領域に形成されるかを明らかにするための手がかりとなる。
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Strategy for Future Research Activity |
減数分裂期における高頻度切断部位を対象とした、DNAの柔軟性、二本鎖DNAの崩壊エネルギーおよびタンパク質による変形能についてのより詳細な理論解析を進める。また、前年度から継続中である、DNA物性の他にクロマチン構造も考慮に入れた理論解析およびDNAの特性がDNAの形体に反映しているか否かを検討するための原子間力顕微鏡を用いた実験解析も引き続き行う。
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