2012 Fiscal Year Annual Research Report
過渡的な人体の生理応答を考慮した通風時の非定常人体温熱生理モデルの開発
Project/Area Number |
12J11222
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
森上 伸也 東京工芸大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 通風環境 / 人体温熱制御モデル / 不感蒸泄 / 気持ちよさ / 2nodeモデル |
Research Abstract |
1)研究目標 夏季の空調負荷を削減し、室内環境の空気質を向上させる手段として、通風利用が注目されている。通風環境下での温熱快適性評価を確立するために、本研究では、既存の人体温熱生理モデル2 nodeモデルを通風時の非定常温熱環境下へ適用できるように改良することを目的とする。また、改良された2 nodeモデルを用いて、通風環境における気持ちよさ評価マップの作成をする。 2)「既存の人体温熱生理2 nodeモデルの通風環境への適用性」について 不感蒸泄の現象を人体の皮膚内部の拡散が支配的な水分放散であるとみなして、風速に依存しない実験回帰モデルを算定した。不感蒸泄の実験回帰モデルを2 nodeモデルに組込み、平均皮膚温の予測精度を検証した。通風環境において改良型2 nodeモデルによる平均皮膚温の予測精度が向上した。 3)「静穏環境から通風環境へステップ変化した場合の気持ちよさ評価マップの作成」について 実験結果の気持ちよさは、一定の時間気持ちよさが持続した後、時間が経過するにつれて低下する傾向を示した。気持ちよさは一過性の心理量であることから、気持ちよさの経時変化を指数関数で近似した。ステップ変化によって生じる気持ちよさレベル、気持ちよさの持続時間及びステップ変化によって生じた気持ちよさの減衰率について、平均皮膚温と平均皮膚温の変化率を説明変数として、重回帰分析を行った。その結果から、人体の生理量から気持ちよさを予測する実験回帰モデルを算定した。得られた実験回帰モデルを用いて気持ちよさの予測精度を検証した。さらに気持ちよさ評価の実験回帰モデルを用いて気持ちよさ評価マップを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存の人体温熱生理モデルを改良し、通風時の非定常温熱環境下での適用性を検証した。通風環境における心理量である気持ちよさについて実験回帰モデルを算定した。
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Strategy for Future Research Activity |
既存の2nodeモデルにおける発汗による熱損失量は、風速による水分蒸発率の影響を考慮していない。気温が高い通風環境において、平均皮膚温の予測精度が低下する可能性があるため、水分蒸発率について検討が必要である。人体の生理量である平均皮膚温と平均皮膚温の変化率から、心理量である気持ちよさの経時変化を予測できる実験回帰モデルを作成した。今後、非定常通風環境に適用できる人体温熱生理モデルを組み込んだ気持ちよさ評価マップについて検討する。
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Research Products
(3 results)