2012 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質相互作用の速度論的調節機構に関する構造細胞生物学的研究
Project/Area Number |
12J30003
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小山 昌子 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | CRM1 / X線結晶解析 / 核膜孔 / Nup |
Research Abstract |
CRM1は,代表的な核外輸送受容体(exportin)であり,Leu-rich nuclear export signal(NES)をもつさまざまな輸送基質(cargo;転写因子などの蛋白質や,リボソームなどのRNA-蛋白質複合体)を認識して核から細胞質に運び出す。これまでの構造解析研究により,CRMIによる輸送の方向性制御機構の鍵を握る「核内でCRM1とNESの結合がRanGTP(核に局在する)に依存する機構」と,「細胞質でRanBP1(細胞質に局在する)によりNESのCRM1からの解離が促進される機構」の構造基盤の理解が大きく進んだ。しかし,核外輸送受容体CRM1が如何にして核膜孔を通過するのかという点については,最大の未解明課題として残されている。本研究では,この「CRM1核外輸送複合体が核膜孔を通過する機構」を解明するための構造研究に取り組んだ。CRM1核外輸送複合体が核膜孔を通過するためには,CRM1と核膜孔複合体構成蛋白質群(Nup)との相互作用が重要である。本研究ではNupの一種について,CRM1とcargo,RanGTP,Nupから成る四者複合体の結晶化に成功し,高分解能で構造を解くことができた。これは,CRM1とNupの相互作用様式を原子レベルで明らかにした世界初の構造であり,これまでに解かれた結晶構造との比較により,CRM1核外輸送におけるNupの作用機序に関して興味深い知見を与えるものであった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
CRM1は高分解能まで回折する単結晶を作製するのが難しく,また本研究では4つの蛋白質からなる複合体をターゲットとするため,複合体の大量精製と質の良い結晶の調製は困難を極めると予想されたが,高分解能まで回折する結晶を作製することに成功し,構造を解くことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
構造情報に基づいて変異体蛋白質を作製し,結合実験や速度論解析などの機能解析を行なう。さらに他のNupとの複合体の構造も解き,CRM1核外輸送複合体の核膜孔通過機構を解明する。
|
Research Products
(3 results)