2013 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質相互作用の速度論的調節機構に関する構造細胞生物学的研究
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12J30003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小山 昌子 名古屋大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | CRM1 / 核-細胞質間輸送 / Yrb2 / キネティクス解析 / X線結晶解析 |
Research Abstract |
申請者はこれまでに, CRM1によるcargo(様々な蛋白質や蛋白質-RNA複合体)の核外輸送において, 出芽酵母の可溶性蛋白質Yrb2p(ヒトホモログはRanBP3)が核内でCRM1-cargo-RanGTP核外輸送複合体の形成反応を促進することを見出し, この過程で形成される中間体(CRM1-Yrb2p-RanGTP三者複合体)の結晶構造を2.2Å分解能で解いた。この中間体構造と核外輸送複合体の構造(採用1年目で結晶構造を解いた)との比較から, Yrb2pがCRM1核外輸送複合体形成反応を促進する機構のモデルを立てた。平成25年度は, 構造から推測したモデルを検証するためのin vitroおよびin vivo機能解析を行った。構造から明らかになった蛋白質間相互作用部位をつぶしたYrb2pとCRM1の変異体蛋白質をそれぞれ作製し, pull-down assayとFRETを利用したkinetics assayを行うことにより, 結晶構造でみられたYrb2pとCRM1の間の相互作用は, Yrb2pがCRMI核外輸送複合体形成反応を促進するために重要であることを明らかにした。また種々の反応素過程のkinetics assayを行うことにより, 推測した反応モデルの検証を行った。さらに酵母細胞を用いたnuclear transport assayを行い, 酵母細胞において野生型Yrb2pの代わりに変異体Yrb2p蛋白質を発現させるとCRM1による核外輸送の効率が低下することを明らかにした。これらの結果により, 核内で起こるYrb2pによるCRM1核外輸送複合体の形成促進反応の反応機構を確立するに至った。Yrb2pのヒトホモログであるRanBP3がin vitroでYrb2pと同様にCRMl核外輸送複合体の形成を促進する機能をもつことも明らかにし, Yrb2pの機能が酵母からヒトまで保存されていることをも示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結晶構造から推測した反応モデルに対して種々のin vitro検証実験を行い, モデルを支持する結果を多数得た。また検証実験から得られた結果に基づき, モデルをより適切な形へと一部修正することもできた。さらに酵母細胞でYrb2pの機能を検証するためのin vivo nuclear transport assay系を確立し, 変異体Yrb2pの発現による細胞内での影響をみることもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
Yrb2pが細胞内のどこで機能するのかを明らかにするため, Yrb2pとCRM1の相互作用を酵母細胞内でFRETにより検出する。Yrb2pやnucleopohnの輸送に対する影響をin vivoで感度良く検出するため, CRM1によるcargo輸送の速度を測定できる系を確立する。
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Research Products
(2 results)