2013 Fiscal Year Annual Research Report
TSCシグナル伝達経路がゲノム維持に果たす役割の解明
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12J40002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中瀬 由起子 京都大学, 放射線生物研究センター, 特別研究員(RPD) (80402923)
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Keywords | トランスポゾン / 栄養源枯渇 / ゲノム / CENP-B / オートファジー |
Research Abstract |
トランスポゾンの転移はゲノムにとって多くの場合有害である。本研究では、TSCシグナル伝達経路に関わる因子が栄養源枯渇という外部刺激によってどのようにトランスポゾンの発現、転移の制御に関与しているのかを明らかにすることを目的に研究を行った。平成25年度は、これまでの知見をふまえ、大きく3つの可能性を検証した。 ①低酸素条件下で活性化される転写因子Sre1がTSCシグナル伝達経路の下流で働いている可能性。 結果、Δsre1Δtsc2二重変異株でもAtsc2変異株と同様に栄養源枯渇条件下ではトランスポゾン発現誘導が見られた。このことから、転写因子Sre1がTSCシグナル伝達経路の下流で機能している可能性は否定された。 ②TSCシグナル伝達経路の因子Tor2キナーゼによるオートファジー制御からくるトランスポゾン発現制御の可能性。 結果、おそらく分裂酵母でもオートファジーがトランスポゾン発現抑制に関与しているという可能性が考えられる。また、TSC-Rhb1-TORC1経路によってもトランスポゾン発現が制御されることがわかった。しかし、TSC-Rhb1-TORC1経路がオートファジー経路のみを経由してトランスポゾン発現を抑制しているのかについては、今のところ②-5の結果をふまえると、単純には説明がつかない。出芽酵母での報告例とは、別の経路が存在する可能性が示唆される。 ③トランスポゾン発現抑制に働くと知られている因子CENP-B/HDACがTSCシグナル伝達経路の下流で働いている可能性。 結果、Acbh1とAcbh2変異株では、栄養源枯渇前に比べて、枯渇後のトランスポゾン発現量の減少が見られた。しかし、Aabp1変異株では、わずかに上昇していることがわかった。 Acbh1とAcbh2変異株での発現量の減少はオートファジーによる分解抑制の可能性をにおわせるが、Aabp1変異株では逆な結果になっていることから、さらに検証が必要と思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度は産休/育休期間での中断期間こそあったが、国際学術誌に論文が掲戟されるなどの成果があった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) TSCシグナル云達経路の因子Tor2キナーゼによるオートファジー制御からくるトランスポゾン発現制御の可能性。(2)トランスポゾン発現抑制に働くと知られている因子CENP-B/HDACがTSCシグナル伝達経路の下流で働いている可能性。 上記(1)(2)の可能性について、さらに追求していきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)