2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J40037
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Research Institution | Nishogakusha University |
Principal Investigator |
仙石 知子 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員RPD
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Keywords | ジェンダー / 中国近世 / 明清小説 / 『三国志演義』 |
Research Abstract |
毛宗崗本『三国志演義』に表現された女性像と、その背景となっている清代初期の女性に対する社会通念を追求し、その結果を『毛宗崗本『三国志演義』における女性の表現』として刊行することが本研究の目的である。 平成25年度は、東方学会平成24年度秋季学術大会(2012年11月10日)において報告した「毛宗崗本『三国志演義』における関羽の義」を論文にまとめ、東方学会に投稿した結果、「毛宗崗本『三国志演義』における関羽の義」が、『東方学』第百二十六輯(平成25年7月31日刊行)に掲載された。 2013年7月7日に開催された、中国社会文化学会2013年度大会シンポジウム「中国のジェンダー構造の歴史的変容」において、「明清女性史研究と毛宗崗本『三国志演義』」を報告した。明清社会におけるジェンダー構造や性規範については、二つの異なる見方が併存している。前者は、儒教が朱子学から陽明学へと展開し、規範として社会に浸透することにより、女性への規制・抑圧が強化された、という主張である。後者は、先進的な近世社会の始まりと評価しうるような女性への役割への尊重が見られる、という主張である。本報告は、『三国志演義』の分析を通して、明清社会の女性の「孝」と「貞節」のあり方について、孝が優先されることを論証した。 2013年9月21日に開催された、三国志学会シンポジウム「関羽――思想・宗教と文学」において、「毛宗崗本『三国志演義』の受容層について」を報告した。 これら報告は、ともに学会誌『中国――社会と文化』29(平成26年度7月刊行予定)、『三国志研究』9(平成26年9月刊行予定)にその成果が掲載されることが定まっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に沿って順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、以下に記した三本の論文を公刊する。 1、毛宗崗本『三国志演義』における徐庶の母と忠 2、毛宗崗本『三国志演義』における趙雲の婚姻 3、毛宗崗本『三国志演義』における評――諸葛亮の評価を中心として なお、1・2は、女性に関わる論考であるが、3は女性と直接的な関わりはない。それは、研究を進めていくうちに、「毛宗崗本『三国志演義』における女性の表現」という研究課題を十全に解明するためには、女性の表現に止まらず、毛宗崗本が主役と位置付ける「三絶」(諸葛亮・曹操・関羽)についての表現の特徴を理解しなければならない、と考えるに至ったためである。
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Research Products
(2 results)