2012 Fiscal Year Annual Research Report
適応的な昆虫発育を制御する受容体を介したステロイドホルモン生合成調節機構の解明
Project/Area Number |
12J40063
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
島田 裕子 筑波大学, 生命環境系, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 昆虫 / ショウジョウバエ / ステロイドホルモン / エクジソン / 前胸腺 / 発生 / 生体アミン / セロトニン |
Research Abstract |
多くのモデル生物の発生プログラムは、実験室の均一環境条件だけで語られることが多い。しかしながら、生物の発生/発育プログラムは、外環境に応じて柔軟に変化できるポテンシャルを元来秘めており、遺伝プログラムにはいくつものバリエーションがある。例えば、生物個体が幼体から成体に移行するステップにおいては、幼若期で摂取される栄養量が成熟を促す条件の1つとして挙げられる。貧栄養条件下で個体が成育した場合には、幼若期が延長されるようにプログラムが修正されることで成体に必要な栄養が確保され、成体の繁殖成功がある程度保障される。このような発生プログラムの柔軟性は、生命の存続や次世代への継承の本質を理解する上で重要であると考えられるが、その分子実態については未だ不明な点が多く残されている。 ステロイドホルモンと生体アミンは、生物種を問わず個体の発生と生理機能の維持に重要な役割を果たす。ステロイドホルモンの生合成は発生過程を通して調節されており、様々な外環境に応じて増減することが発生プログラムの進行や遅延の制御に重要である。一方、生体アミンは神経伝達物質として神経間連絡の可塑性を制御するため、外環境の変化をホルモン合成器官に伝える有力な候補分子である。申請者は、ショウジョウバエを用いて、生体アミンであるセロトニンとオクトパミンがステロイドホルモン合成器官(前胸腺)に作用し、ステロイドホルモン合成のタイミングを適応的に調節することで、外環境依存的に発生/発育プログラムが調節されるメカニズムを明らかにすることを目指している。平成24年度においては、セロトニン受容体のノックアウト個体の作製に従事する一方、前胸腺に投射する新規セロトニン産生神経の同定ならびに機能阻害実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の核となるセロトニン受容体のノックアウト個体のスクリーニングが未だ完了しておらず、ノックアウト個体を用いた解析が立ち後れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度においては、ノックアウト個体のスクリーニングを継続するとともに、RNAiによるノックダウン個体の解析を完了させる。セロトニン受容体ノックダウン個体の表現型がセロトニン受容体過剥発現によって復帰するかどうかを検討することによって、RNAioff-target effectの可能性を検証することを計画している。
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Research Products
(3 results)