2012 Fiscal Year Annual Research Report
メソ多孔質複合構造制御によるシナジー環境触媒の設計
Project/Area Number |
12J40091
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲田 幹 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(RPD)
|
Keywords | シナジー効果 / 環境触媒材料 / メソ多孔体 / ミクロ分相 / ナノ領域技術 |
Research Abstract |
本研究では、大気中に存在する多様な汚染物質に幅広く対応できる材料として、吸着・分解シナジー効果を持つ高機能な環境触媒材料を設計することを目的とし、シリカーチタニア複合多孔体およびメソポーラスチタニアーシリカを作製し、構造と触媒能の関係について調査することで、吸着・光分解シナジー効果について検証する。 平成24年度はシリかチタニア複合多孔体の作製、触媒特性評価、構造解析を行った。ゾルーゲル反応を制御することで、シリカネットワークに均一にTiを組み込むことに成功し、仮焼に伴うミクロ分相現象により酸化チタンナノ粒子が析出したシリカーチタニア複合多孔体を得た。作製したシリカーチタニア複合多孔体は高い酸性度を持ち、アセトアルデヒドに対して高い吸着・光分解能を有することを明らかにした。構造解析より、低Ti/Si比では仮焼後もシリカネットワークにTiが組み込まれており、Ti/Si=0.2ではミクロ分相現象によって酸化チタンナノ粒子が析出することを明らかにした。 以上のことから、シリカーチタニア複合多孔体の構造と触媒能との関係を、次のように考察した。シリカネットワークにTiを組み込むことで酸点が形成され、これが有害物質に対する吸着サイトとなると考えられる。Ti量の増加に伴いTiがシリカネットワークから酸化チタンナノ粒子として分離析出することにより光触媒能が発現し、酸点の吸着サイトに吸着した有害物質を効率的に光分解すると考えられる。本研究により作製したシリカーチタニア複合多孔体は効率的な吸着・光分解を実現できることがわかった。 本年度、ミクロ分相現象を利用して作製したシリカーチタニア複合多孔体について、シナジー効果発現メカニズムを概ね明らかにしたことは、ナノ領域技術を活用した新規環境触媒材料の創成につながる重要な成果であり、学術的にも意義は大きい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度計画していたシリカ-チタニア複合多孔体の作製、触媒特性評価、構造解析について予定通り実行できた。 構造解析の結果、シリカ-チタニア複合多孔体の吸着サイトと分解サイトに関する知見が得られ、吸着・光分解によるシナジー効果発現メカニズムについておおよその見当が付いたところある。
|
Strategy for Future Research Activity |
シリカ-チタニア複合多孔体について、シナジー効果発現メカニズムの概要が明らかになったため、メソポーラスチタニア-シリカについて検討を行う。 アセトアルデヒドを用いた光触媒能評価についてく今後の速度解析を見越し、精度の高いデータを得るべく、前処理方法などについて検討を行う。
|