2012 Fiscal Year Annual Research Report
中枢嗅覚系における並列神経回路の抽出および機能解析
Project/Area Number |
12J40106
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
毛利 亮子 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 嗅覚系 / 回路形成 / 行動 |
Research Abstract |
嗅球神経は、胚発生中期から後期にかけて、神経前駆細胞から神経細胞へと分化する(神経細胞の誕生)。嗅球神経の誕生日が、その回路形成や機能決定に重要な役割を持つ可能性を検証するため、任意の誕生日の嗅球神経について、軸索末端までのラベルや除去を試みた。嗅球神経を選択的に標識するために、嗅球神経特異的プロモーターPcdh21の下流で、Cre-ER依存的にGFPを発現するレポーターマウスの作製をおこなった。それと同時に、二年目に計画している並列経路の生理機能解析のために必要な、任意の誕生日の嗅球神経を特異的に除去できるレポーターマウス系統も作製した。理化学研究所発生再生研究所の変異マウス開発ユニットとの共同研究により、Pcdh21-flox(STOP)-GFPマウスは8系統、Pcdh21-flox(STOP)-DTAマウスは6系統得られた。さらにスクリーニングをおこない、嗅球神経特異的にGFPが発現する系統を一系統得た。次に、作成したマウスを用いて二次嗅覚系における並列経路の抽出を試みた。Neurogenin2遺伝子は、分化直後の神経細胞で一過的に発現する。Neurogenin2プロモーター制御下でタモキシフェンにより活性誘導可能なCreER recombinaseを発現するマウスと、今回作成したレポーターマウスとを交配した。妊娠中期から後期のマウスにタモキシフェンを投与し、ちょうどその瞬間に神経分化に入ったばかりの神経細胞をGFPによって恒久的にラベルしたところ、残念ながらGFP蛍光のシグナルが弱く、仔の軸索投射パターンを詳細に解析することは困難であった。そこで、新たなトランスジェニックマウスの作成に着手した。嗅球神経特異的ではないものの、嗅球神経が強くラベルされるレポーターマウス系統を用いて同様の解析を行ったところ、嗅球神経は、胎生中期にタモキシフェン注射した場合に、最も多くラベルされた。また、嗅球神経が誕生する初期にタモキシフェン注射したマウスでは、副嗅球の嗅球神経がラベルされ、後期にタモキシフェン注射したマウスでは房飾細胞や糸球体周辺細胞がラベルされた。これは、以前の報告を支持するものであり、同様の結果が得られたことで、確かに本研究計画が実現可能であることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の研究で、嗅球神経を特異的に可視化するためのマウス1系統を樹立できた。作成したトランスジェニックマウスが最適な系統であるとは現時点では言えないが、これまでに入手したマウス系統を合わせて用いる事で、研究テーマを推進できるステージに到達した。今後は、研究を強力に推進し、成果を蓄積する方向にシフトできるようにする。
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Strategy for Future Research Activity |
現在得られている系統はGFPの発現が弱く、嗅球神経の軸索投射パターンの解析が困難であり、嗅球神経をより多くより強くラベルする必要がある。この問題点を解決するために、以下の対策をとっている。具体的には、神経発生初期に一過的に働く異なる遺伝子プロモーターを用いる、CreER recombinaseをより発現の強いタイプに変更する、挿入遺伝子を多コピー持つマウスを使用する、レポーター遺伝子の発現を増幅して検出できるシステムを利用するなどで、現在、この変更に応じたトランスジェニックマウスを作成中である。平成25年度は、これらを用いて詳細な軸索投射パターンの解析を進める予定である。
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