2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J40161
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 麻衣 京都大学, 野生動物研究センター, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 社会行動 / 左右性 / 動物行動学 / コミュニケーション / 鯨類 / イルカ / ハクジラ亜目 / 認知科学 |
Research Abstract |
胸ビレで相手をこする社会行動であるラピングの胸ビレ使用の左右差の分析のために、水族館および野外にて調査を行った。 鳥羽水族館にてイロワケイルカのオトナオス、未成熟オス、オトナメス2個体の計4個体の社会行動を観察し、胸ビレ使用の左右性を分析した。胸ビレを使用する社会行動は、タッピング、ラビング、タッチの3つに分けられたので、個体別、行動別に左右性を分析した。その結果、オトナオスは97%、未成熟オスは80%、オトナメスはそれぞれ61%、66%の事例で左ヒレを使用した。また、タッピングでは100%、ラビングでは57~98%、タッチでは62~93%の事例で左ヒレが使われた。イロワケイルカは、社会行動時に左ヒレを使用する傾向があるが、性別や社会行動によって左右差の偏りの強さが異なることが明らかになった。 千葉県鴨川シーワールドおよび鹿児島県いおワールドかごしま水族館にて飼育バンドウイルカを、水中観察窓から目視観察及びビデオ撮影した。鴨川については2004年に収集したデータを再分析し、かごしまの個体は2012年8月から2013年3月に観察を行った。鴨川ではオトナメス3個体、コドモメス2個体、コドモオス1個体を対象に、858例のラビングを解析した。その結果、オトナメス2個体とコドモメス1個体が左胸ビレを有意に多く使用'した。かごしまでは766例のラビングを解析した。オトナメス5個体、コドモオス1個体のうち、オトナメス3個体が有意に左ヒレを使う傾向を示した。左偏向を示す個体が全個体の約半数存在すること、右偏向を示す個体はいないことが2園館に共通する結果であった。このことから、ラビングで左ヒレを多く使う傾向は、飼育環境によらず本種の特性である可能性が強まった。 2012年6月11日~7月13日、9月10日~10月11日、伊豆諸島御蔵島において、ミナミハンドウイルカの接触行動・同調行動を目視観察および水中ビデオ撮影し、データを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イロワケイルカとバンドウイルカにおける社会行動の左右性に関するデータを十分収集でき、これを分析し、両種において社会行動時に左胸びれを使用する個体が多いという結果を得て、学会発表を行うことができた。 調査が困難な野生個体のデータ収集も、滞りなく行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
野生個体のデータ収集・分析に時間と労力がかかるため、今後は重点的に進める。
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Research Products
(10 results)
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[Book] 月刊海洋号外「ミナミハンドウイルカの生態」
Author(s)
森阪匡通, 関口雄祐, 白木原美紀, 篠原正典, 小木万布, 高縄奈々, 正木慶子, 森恭一, 筒井浩俊, 打込南友子, 酒井麻衣, 幸島司郎, 吉岡基
Publisher
海洋出版株式会社(伊豆半島のミナミハンドウイルカ)(印刷中)
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