2012 Fiscal Year Annual Research Report
グリーンイノベーションにおける国際競争と協働に関する研究:日本と中国を事例として
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12J40280
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
姜 娟 政策研究大学院大学, 政策研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 特許 / 競争力 / グリーン産業 / イノベーション政策 / 中国 |
Research Abstract |
平成24年度は、まず全世界特許データベースであるPATSTATを用い、先行研究により開発した新たな技術分類を利用して、対象とする産業領域-太陽光電池、電気自動車-の各技術クラスターを特定した。それらのクラスターおける特許の国際出願及び自国出願の上位企業を抽出した。そして、それら企業の特許出願状況の時系列分析を行い、研究対象とする日本及び中国の企業を特定した。また、PATSTAT(英語)上の企業名称及び発明者の名前の表記揺れの問題を克服するため、PATSTATを日本語の特許データベース及び中国語の特許データベースと連結し、オリジナル言語で記載されている企業名や発明者名などの名寄せを行い、PATSTAT上でも企業名や発明者個人名を同定する(名寄せおよび名分け)ことができるような対応テーブルを構築した。さらに、それらのデータを用いて、分析対象企業の共同出願機関及び共同発明者の時系列ネットワーク分析及び構造化分析を行った。この研究で、中国語版の特許、特に実用新案データベースとPATSTATの連結を初めて実現することになり、対象となる産業領域での中国企業の技術競争力の真相をより精確に把握でき、また、各外国企業の中国市場における勢力配分も明らかにすることになった。太陽光電池産業と電気自動車産業の性格の違いも、本研究を通じて実証することができ、両産業を振興するための政策設定に対して初期段階のエビデンスを得ることができた。さらに、構造化分析法、統計分析法により、両国のイノベーション・システムの差異や、両国の代表的な企業の研究開発現場の組織体制とマネージメントの特徴の解明の契機を得ることができた。 上記の一連の分析によって、日本と中国の企業間競争と協働のための最適なマネージメントや政策を設計するための科学的根拠を提供するという目標に重要な一歩を踏み出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画の初年度にあたり、当初設定した目標をほぼ達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
中国の技術力をより正確に把握するため、特許、実用新案と、中国の特許付与データベースとの連結が不可欠である。また、技術力だけでなく、イノベーション力を明確にするため、企業財務データベースとリンクする予定であり、それぞれの企業の技術力とパフォーマンスの関係を探る。さらに、文献調査に加え、企業に対する聞き取り調査を行い、グリーン産業領域を育成するため、日本と中国の政府のsupply side及びdemand sideの政策を比較しながら、示唆を得ることを目指している。
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Research Products
(3 results)