2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J57032
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
五味 斎 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC2)
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Keywords | 電気抵抗率 |
Research Abstract |
地球の核は、鉄を主要元素とする合金であり、溶融した液体外核と固体内核に分けられる。核の永年冷却によって放出されるエネルギーは、外核の活発な対流運動を通じて地球磁場を形成していると考えられている。ここで外核が熱対流を起こすためには、実際の核の冷却速度が、断熱温度勾配に沿って伝わる熱伝導の値よりも大きくなくてはならない。したがって、核の熱伝導度を決定することは核の熱史や磁場の発達史を考えるうえで重要なパラメータである。 本研究では、高圧力下における鉄及び鉄合金の電気抵抗率測定から、ヴィーデマンフランツの法則を用いて核の熱伝導度の推定を行った。高圧発生装置にはダイヤモンドアンビルセル装置を用い、鉄の電気抵抗率を100万気圧まで2wt%ケイ素合金を70GPaまで測定し、これらの結果と衝撃圧縮実験を用いた先行研究との比較から、核の抵抗率飽和モデルを提唱し、国際誌にて発表した(Gomi et al. 2013)。更に、鉄ケイ素合金の電気抵抗率の濃度依存性を明らかにするために、予察的な2wt%ケイ素の実験に加えて1,4, 6.5, 9wt%ケイ素合金に関しても70万気圧まで電気抵抗率測定を行った。また、同様の実験を鉄ニッケル合金に対しても行い、5,10,15wt%ニッケル合金に関しても70万気圧までの電気抵抗率測定に成功した。これらの結果は、現在国際誌に投稿準備中である。 本研究により得られた電気抵抗率は、これまで考えられてきた核の抵抗率と比較して半分程度である約1×10^<-6>Ωmであった。このことは核の熱伝導度が従来の見積もりよりも2倍程度大きく、外核最上部において約90W/mlKであることを意味する。この値を元にして熱史計算を行ったところ、内核の結晶化開始は10億年前よりも最近でなければならず、地球形成初期の核の温度は、マントル底部を溶融させるほど高温であった事が分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(1 results)