2001 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1感染症における持続感染細胞維持と免疫細胞死亢進機序
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13015206
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
神奈木 真理 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80202034)
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Keywords | HIV / 細胞死 / CTL / CD8 / 感染免疫 / 免疫不全 |
Research Abstract |
我々はこれまでにヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染者の無症候期のCD8陽性細胞がHIV-1複製を抑制する機能を持つことを報告してきた。しかし、無症候期のウイルス複製は停止しているわけではなく活動性の持続感染状態でなる。この間に宿主のウイルス抑制機能は減弱しHIV-1の増殖を許すことによってAIDS発症を招く。CD8陽性細胞の抑制機能が発症期に減弱する理由は不明であるが、感染者のCD4細胞もCD8細胞も細胞死を起こしやすいことが分かっており、これが関係すると考えられる。一旦高レベルのウイルス血症がおこると細胞死はさらに加速される。従って、HIV-1感染病態の本質は、HIV-1の持続感染とそれに伴う免疫細胞の細胞死亢進にあると仮定できる。本研究では、HIV-1持続感染考におけるCD4およびCD8陽性免疫T細胞の細胞死亢進機序を解明することを目的とする。 本年度は、我々は、試験管内で作成したHIV-1持続感染末梢血リンパ球(PBL)培養に対する、無症候HIV-1キャリア(AC)のCD8_+細胞のウイルス抑制能を調べた。その結果、AC-CD8+細胞はHIV-1に持続感染したPBLからのウイルス産生を抑制した。HIV-1 Ne7はMHC-1発現低下を誘導し感染細胞のCTLに対する感受性を低下させることが知られており、MHC-1の全く一致しないAC-CD8細胞にもHIV-1産生抑制が認められた。さらに、HTLV-1と無関係のアロ抗原を認識するCTLもHIV-1抑制効果を示した。これらのことから、ウイルス抑制のエフェクターは感染者の末梢血中に多く存在するHIV-1特異的CTLである可能性が高いが、その機序はMHC-1依存性細胞傷害とは異なると考えられた。今後、これらのHIV-1抑制を担う宿主免疫細胞の破綻(細胞死)機序について研究を展開させたい。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 神奈木真理: "HIV-1感染の制衝因子"日本エイズ学会誌. 3(3). 167-174 (2001)
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[Publications] S.Hanabuchi, T.Ohashi, Y.Koya, H.Kato, A.Hasegawa, F.Takemura, T.Masuda, M.Kannagi: "Regression of Human T-cell leukemia virus type I (HTLV-I)-lymphomas in a rat model : Peptide-induced T-cell immunity"J.Natl.Cancer Inst.. 93. 1775-1783 (2001)
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[Publications] M.Kannagi, S.Hanabuchi, T.Ohashi, A.Hasegawa, T.Masuda.: "Host defense Mechanisms against HTLV-I-induced T cell lymphomas in a rat model"AIDS Res.Hum.Retroviruses. 17(Suppl. 1). S14 (2001)
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[Publications] 神奈木真理: "ヒトT細胞白血病ウイルス感染に対する抗腫瘍ワクチン"がん治療のあゆみ. 20. 21-28 (2001)