2001 Fiscal Year Annual Research Report
イスラーム哲学におけるアリストテレス『デ・アニマ』受容と霊魂論の展開
Project/Area Number |
13018213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
小林 春夫 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (70242229)
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Keywords | アリストテレス / 霊魂論 / スフラワルディー / シャハラズーリー / イブン・カンムーナ / 照明学派 / イスラーム哲学 |
Research Abstract |
研究計画調書に記載したように,平成13年度はシャハラズーリー著『比喩と象徴』al-Rumuz wa'l-Amthalの校訂と,スフラワルディー著『開示の書』al-Talwihatの研究を行なった。以下,それぞれについて概容を報告する。 1.シャハラズーリー著『比喩と象徴』については,今回の写本調査によってms.Ragip Pasha707(トルコ共和国,イスタンブール,スレイマニエ図書館蔵)の重要性が明らかになったので,そのマイクロフィルムを取得した。そして,これまで用いてきた8写本とこの写本とを併せて校訂作業を継続中であり,現在はその最終段階にある。 2.スフラワルディー著『開示の書』については,アリストテレスとスフラワルディーの間で交わされる「霊魂」とその認識をめぐる空想的対話に着目し分析した。その際,シャハラズーリーおよびイブン・カンムーナが同書に付した註釈を参照することにより,この対話の構造や問題点を明らかにするとともに,それぞれの註釈家の特徴や関係についても考察した。なお,前者についてはms.Koprulu880とms.Nuruosmaniye2694を,後者についてはms.Saray Ahmet3244を用いた。 以上に述べた成果のうち,2.にかんしては平成13年8月1日から3日にかけて開催された「スフラワルディー国際会議」(イラン・イスラム共和国,ザンジャン大学)で報告した。また,シャハラズーリーを中心とする「照明学派」の思想的展開については,10月21日に開催された「日本オリエント学会年次大会」(東京,和光大学)において報告し,校訂したテキストの一部を資料として呈示した。
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