2001 Fiscal Year Annual Research Report
インド大乗仏教瑜伽行派における「摂事分」の伝承と変容
Project/Area Number |
13018218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
早島 理 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60108272)
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Keywords | 『瑜伽論』「摂事分」 / 阿含経典の継承と変容 / 『顕揚論』「攝事品第一」 / 『顕揚論』「現觀品第八」 / 四種現觀 / 七種清淨 / 事 vastu |
Research Abstract |
(1)インド大乗仏教瑜伽行学派にとっての根本聖典(経・律)は「事 vastu」と称され、その集積が「摂事分」である。本年度は同学派の思想を確立した無着Asangaの代表作『顕揚聖教論』のうち「摂事品第一」を中核にして、その「摂事品」を受けて具体的思想内容を展開した各章のうち、主に「現觀品第八」の解読研究に従事した。 (2)「現觀品」の解読研究を中心とした研究の成果は次の如くである。 (1)『顕揚論』は四・八・七の現觀次第を掲げる。いずれも阿含経典→『瑜伽論』「摂事分」・「摂決択分」を経て『顕揚論』に継承されたものである。 (2)特に七種現觀次第は、元来「中阿含経典」→『瑜伽論』「摂事分」あるいは『摂阿毘達磨義』に受け継がれてきた「七種清淨」を、『顕揚論』が現觀次第として変容させつつ継承したものである。 (3)さらに、四・八種現觀次第は、従来、見道以前・見道・修道という阿毘達磨仏教以来の伝統的な修行階梯に対応したものであるが、『顕揚論』はそれを聲聞・菩薩が併修するものと改変し、大乗の現觀次第として換骨奪胎し始めていることが注目される。 (2)以上の研究成果は、「『顕揚聖教論』「現觀品第八」について」と題して平成13年度日本インド学仏教学会(於東京大学、平成13年6月)、並びに「瑜伽行派における信仰について」と題して平成13年度日本仏教学会(於身延山大学、平成13年10月)において口頭発表され、それぞれの学会誌に掲載されている。 (3)学会発表とは別に、『顕揚論』「現觀品第八」の解読研究を、対応する『瑜伽論』との比較研究のかたちで完成し、公表の準備を進めている。 (4)瑜伽行学派における思想展開の一資料として、おなじく無着の著作とされる、『大乗阿毘達磨集論 Abhidharmasamuccaya』・『大乗阿毘達磨雑集論 Abhidharmasamuccaya-Bhasya』「本地分」の梵文-蔵訳-漢訳の三本対照校訂テキストを作成中である。ただ元テキストの版権の問題があり、公表様式を考慮中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 早島 理: "瑜伽行派における信仰について"日本仏教学会年報. 67. 215-226 (2002)
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[Publications] 早島 理: "『顕揚聖教論』「現觀品第八」について"印度学仏教学研究. 50-1. 361-364 (2001)
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[Publications] 早島 理: "インド大乗仏教瑜伽行派における聖典継承の研究"古典学の再構築「第I期 公募研究論文集」. 264-281 (2001)
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[Publications] 早島 理, 他: "生死を問う、---医療現場をめぐって---"本願寺出版社. 103 (2001)
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[Publications] 早島 理, 他: "神子上恵生教授頌寿記念論集"永田文昌堂. 325 (2002)