2001 Fiscal Year Annual Research Report
中国周縁地域における「華化メカニズム」と学術の伝播
Project/Area Number |
13018220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木津 祐子 京都大学, 文学研究科, 助教授 (90242990)
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Keywords | 中国 / 官話 / 華北 / 正統 / 周縁 / 学習 |
Research Abstract |
中国とその周縁地域において、学術がどのように受容されたか、そのダイナミズムを支える基軸として「華化メカニズム」をおくのは、平成11〜13年度特定領域研究「北朝文化の研究-言語学史的研究」において提起した方法論であるが、本研究はその方法論を継承し、特に明清期における「中国語学習」という点に問題を絞って資料収集と分析を行なった。中でも、八重山博物館所蔵の慶田城家文書『漢文集』、竹原家文書『漢文』は、共に琉球八重山士族が中国語を学ぶ上で受け継がれてきた学問の伝統をよく反映するが、その資料からも、「華化メカニズム」にとって重要な原動力である「正統への希求」と「華と非華の峻別」の跡を如実に見出すことができた。その内容の一端は、拙著「慶田城家文書『漢文集』について」(『八重山博物館紀要』18)に翻刻した資料とその解題を参照されたい。また、広東・香港における啓蒙書及び啓蒙教育の専門家である香港教育学院講師梁敏兒を日本にお招きし、琉球の諸文献についてのレビュー及び意見交換を行ない、大きな成果を得ることができた。 この中国語を媒介とした「華化メカニズム」は、近代前夜においては、アジア進出をもくろむ西洋を巻き込んで、極めて興味深い振る舞いを見せる。西洋の学術および宗教を伝える手段として宣教師や東インド会社社員らに用いられたのが、やはり中国語であった。その舞台は単に中国境内ばかりではなく、琉球や東南アジアなど、いわば非華のエリアにおいても同様であったことは、大いに注目すべきである。この問題は「ベッテルハイムと中国語」(『同志社女子大学総合文化研究所紀要』19)において論じた。
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Research Products
(2 results)