2001 Fiscal Year Annual Research Report
サンスクリット翻訳文献群としてのチベット大蔵経の研究
Project/Area Number |
13018242
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Koyasan University |
Principal Investigator |
室寺 義仁 高野山大学, 文学部, 助教授 (00190942)
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Keywords | 仏教学 / チベット学 / チベット大蔵経 |
Research Abstract |
本研究において目指す成果は、チベットへの仏教前期伝播期の翻訳文献(特に、経典と論書)から知り得る、個々の翻訳者による翻訳技術・翻訳用語の特性を個別的に明らかにすることである。この研究遂行に当たっては、チベット大蔵経の一つの版全体がPC上で分析可能な資料としてデジタル化されていること、並びに、収蔵テキストのサンスクリット原典が現存し、校訂テキストが公刊されていることの2点を前提として考えている。その内、第1の点は、現在のところ、デルゲ版のみが活用可能である。第2点目については、近年、本邦のインド学・仏教学の研究分野において、貴重なサンスクリット原典がマイクロフイシュ版で公開されている事情を鑑み、従来、世界のインド古典文献研究者たちが拠所としてして来た校訂テキストをも、写本と照合して批判的に吟味しながら取り扱うべき状況となって来ているため、本研究においてもまず第1に、マイクロフィシュ版で公開され、かつ、校訂テキストのあるサンスクリット文献を研究分析対象資料とすることとした。さらに、デルゲ版チベット大蔵経に収蔵されている翻訳文献の内、経典とその注釈書、あるいは、論書とその注釈書というように、一つのセットとして翻訳されている文献に焦点を絞り、少なくとも2つのテキスト資料において確認され得る翻訳事例に検討を加えることとした。このような方針のもと、本年度は、初期大乗経典の代表作品の一つ、ヴァスバンドゥ(西暦400年頃)が注釈を残す『十地経』を取り上げ、その中心テーマの一つである「三界唯心」の経文と、その表明をなすに到る菩薩にとっての「大悲」について、それぞれの表現/用語に対して文脈を重視した分析を行なった。なお、デルゲ版CD-ROMの画像情報と、The Asian Classics Input Projectのもと入力されている文字情報とをリンクさせて、語彙検索がPC上で可能となるソフトについても、目下、検討・開発中である。
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Research Products
(2 results)