2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13019102
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Kochi Women's University |
Principal Investigator |
橋尾 直和 高知女子大学, 文化学部, 助教授 (00244400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅野 光興 高知県立歴史民族資料館, 主任学芸委員
坂本 正夫 高知県立歴史民族資料館, 館長
五百蔵 高浩 高知女子大学, 文化学部, 助教授 (00254607)
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Keywords | 音響的特徴 / ピッチ領域 / テンス・アスペクト / 進行相・結果相 / 能力可能・状況可能 / 可能助動詞「サル」 / 限界集落 / 民具方言呼称 |
Research Abstract |
日本班の公募班(「消滅に瀕した高知県限界集落方言の緊急調査研究」)は、報告書として、『消滅に瀕した高知県限界集落の言語・民俗I』を刊行する。内容は、以下のとおり。 (1)「高知県物部村岡ノ内における一拍名詞の韻律とイントネーションの諸相」 高知県物部村方言における一拍名詞の長さとアクセントの音響的特徴、およびイントネーションについて調査した。一拍名詞と、長母音を含む二拍語の母音の持続時間では後者が長かったが、例外も見られた。一拍語の中に、アクセントと無関係に2つの発話単位として発話されているものがあることが音声波形によって確認された。 (2)「高知県物部村方言のテンス・アスペクト」 物部村岡ノ内のテンス・アスペクト体系は、高知県の中でも都市部と比較した場合、古い姿を留めている。基本的に、進行相と結果相とで対立が見られるが、進行相は〜ヨルと〜ヨウ、結果相は〜チョルと〜チョウとの間でゆれが生じている。 (3)「高知県物部村方言の可能表現-高知市方言との比較-」 物部村岡ノ内方言、物部村市宇方言では、能力可能の否定は「エー(ヨー)〜セン」、状況可能の否定では、「〜レン」ですが、高知市では、「ヨー〜セン」が少し使用の範囲を狭めている。報告者である橋尾は、物部村市宇において、西日本方言の中でも、四国方言、高知県方言の報告例がこれまで確認されなかった可能助動詞「サル」を発見した。 (4)「高知県物部村の生活語-民具方言と習俗-」 高知県の過疎・高齢化が進んだ集落である物部村岡ノ内の生活語文化としての民具と習俗のデジタル画像と民具方言呼称の音声を記録・保存することを目的に、方言呼称(カタカナ表記・IPA表記)の記述を行い、民具の解説を施している。
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[Publications] 橋尾直和, 坂本正夫, 梅野光興: "生活語文化としての民具方言・習俗の体系的記述に関する試論"中山間地域研究年報. 第4号. 32-36 (2002)
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[Publications] 橋尾 直和: "高知県物部村岡ノ内方言におけるテンス・アスペクト"中山間地域研究年報. 第4号. 37-68 (2002)
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[Publications] Yasuko NAGANO-MADSEN, 橋尾 直和: "高知県物部村岡ノ内方言における一拍名詞の韻律の特徴とイントネーションの諸相"消滅に瀕した高知県限界集落の言語・民俗I. 4-31 (2002)
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[Publications] 橋尾 直和: "高知県物部村方言のテンス・アスペクト"消滅に瀕した高知県限界集落の言語・民俗I. 32-65 (2002)
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[Publications] 橋尾 直和, 友定 賢治: "高知県物部村方言の可能表現-高知市方言との比較-"消滅に瀕した高知県限界集落の言語・民俗I. 66-80 (2002)
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[Publications] 橋尾直和, 坂本正夫, 梅野光興, 五百蔵高浩: "高知県物部村の生活語-民具方言呼称と習俗-"消滅に瀕した高知県限界集落の言語・民俗I. 81-124 (2002)
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[Publications] 橋尾 直和: "高知県物部村市宇方言の可能表現「サル」に関する一考察"四万十・流域圏学会誌. 第1巻・第1号. 32-65 (2002)
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[Publications] 橋尾 直和編: "消滅に瀕した高知県限界集落の言語・民俗I"文部科学省科研費「環太平洋の<消滅に瀕した言語>にかんする緊急調査」事務局. 125 (2002)