2001 Fiscal Year Annual Research Report
子音コンテクストを考慮したマルチメディア利用による英語母音学習システム-『英語音声学の基礎-音変化とプロソディーを中心に-』の改良-
Project/Area Number |
13020240
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Research Institution | Hiroshima Prefectural Women's University |
Principal Investigator |
船津 晶代 (上斗 晶代) 県立広島女子大学, 国際文化学部, 助教授 (60196665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船津 誠也 県立広島女子大学, 生活科学部, 助手 (30275383)
長瀬 慶來 山梨医科大学, 医学部, 教授 (80123701)
今石 元久 県立広島女子大学, 国際文化学部, 教授 (80093574)
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Keywords | 英語母音識別 / 子音コンテクスト / フォルマント時間的変化 / 日英語対照分析 / 英語音声教育 / マルチメディア英語発音教材 / 母音の音響的特徴 / 日本人の英語音声 |
Research Abstract |
英語母音学習システム構築のための基礎的データとするために、日本人学習者の英語母音の知覚及び生成特性を研究し、システム構築への提言を示した。本研究は、英語母音/ε/と/ae/に絞り、語末子音/t/の単音節語において、23種類の語頭子音別による学習者の両母音識別の相違と母音音響特徴との関係、及び学習者の発声による上記子音コンテクストにおける両英語母音の特徴をフォルマントの時間的変化に注目して調べた。 母音識別実験の結果、/ε/と/ae/それぞれの識別力に子音コンテクストの違いによる有意差が見られた。両英語母音と日本語音/e/、/a/の母音持続時間におけるフォルマントの変化を比較し、さらに母音の識別力とフォルマントの時間的変化との相関を調べた結果、/ε/と/ae/が母音後半部で音響的に互いに近くなることが、特定の子音コンテクストにおけるそれぞれの母音の識別力低下に影響を及ぼしていると考えられた。従って音響的観点からは、これら英語母音識別への母語干渉は見られなかった。 日本人学習者の発声による/ε/、/ae/の全体的特徴は、母音長を通じてのフォルマント変化の度合いが米語話者の発声によるものよりかなり小さく、これは日本語母音にみられる現象と同じであった。そして、学習者の発音は話者と子音コンテクストに依存し、音響的に米語話者の母音範疇から大きくずれる発音、少しずれる発音、一致する発音に大別できた。また、これらの差は母音後半部でより顕著になることがわかった。そして、ずれる場合の/ε/、/ae/の発音はそれぞれ日本語音/e/、/a/と音響的に一致することから、母語干渉を受けていると考えられた。 システム構築への提言として、(1)'正しい発音を聞くこと'を'発音すること'以上の比率で構成する、(2)"正しい発音"の段階別設定をした評価システムの必要性、(3)学習者に対する発音矯正のための教示の必要性を示した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Motohisa Imaishi: "Experimental Studies of the Japanese Speech Sounds"広島女子大国文. 18号. 1-3 (2001)
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[Publications] 船津(上斗)晶代, 今石元久, 長瀬慶來, 船津誠也: "子音コンテクスト別英語母音における日本人学習者の知覚と生成の特徴"高等教育改革とマルチメディア(特定領域研究(A)「高等教育に資するマルチメディアの高度利用に関する研究」ニュースレター). 第5号. 45-45 (2002)
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[Publications] 船津(上斗)晶代, 今石元久, 長瀬慶來, 船津誠也: "子音コンテクスト別英語母音の識別と音響的特徴の関係"日本音響学会2002年春季研究発表会講演論文集. I. 2 (2002)
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[Publications] 船津(上斗)晶代, 今石元久, 長瀬慶來, 船津誠也: "子音コンテクストを考慮したマルチメディア利用による英語母音学習システム-『英語音声学の基礎-音変化とプロソディーを中心に-』の改良-"特定領域研究(A)「高等教育に資するマルチメディアの高度利用に関する研究」平成13年度研究成果報告書. 6 (2002)
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[Publications] Motohisa Imaishi: "Experimental Studies of the Japanese Speech Sounds(講演)"Proceedings of the 10^<th> National Conference on Speech Sciences. 29-31 (2001)