2002 Fiscal Year Annual Research Report
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13021213
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
真柳 誠 茨城大学, 人文学部, 教授 (20249999)
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Keywords | 東洋史 / 書誌学 / 医史学 / 楊守敬 / 小島宝素 / 森鴎外 / 国際研究者交流 / 日本:韓国:中国:イタリア |
Research Abstract |
本年度は海外共同研究者とともに日本・韓国・中国・イタリアの蔵書を調査し、漢籍医薬書の書誌情報を集積した。また(財)交流協会日台交流ヤンター2000年度歴史研究者交流事業の助成および平成13年度の本研究費により、台湾主要蔵書機関の調査をほぼ完了させた。うち故宮博物院図書文献館蔵書の書誌データは「台湾訪書志I故宮博物院の医薬古典籍」として現在連載報告中で、その解析から以下のことが分かる。 台湾故宮所蔵医書の旧蔵先は第1が楊守敬の観海堂、第2が文淵閣『四庫全書』、第3が旧北平図書館等であり、観海堂蔵書の多くは楊氏が明治の来日時に購入したことがかつて知られていた。今回の所蔵全古医籍の調査で、日本旧蔵の中国本・朝鮮本および和刻本・国書など日本関連書は約400点に及び、ほぼ全てが観海堂旧蔵書であることが明らかになった。楊氏が日本で購入した医書の旧蔵者は、大部分が幕府医官の小島尚質(宝素)・尚真・尚絅の小島家父子、第2に江戸医学館と主宰者の多紀家、第3に小島家関係者だった。 小島家本は第1に尚質手沢本第2に尚真手沢本第3に尚綱手沢本の順である。尚質の著作は日本に2書しか現存しない。楊氏が彼の全蔵書と著述を購入・帰国したためだった。一方、故宮所蔵の小島尚真『座右筆記』は父・尚質の著作として23書を列記し、それら自体の所蔵も多くが確認された。尚真の著書が日本から消失した状況も父と同様で、国内には3書しかない。前述の『座右筆記』は彼の著述予定書を含めて34書を列記するが、28歳で逝世したため約半数しか完成していない。1917年に森鴎外が『小島宝素伝』を著した時、もはや日本には小島家の家系資料しかなかったため、他の医家伝より伝記資料が極端に少ないことは鴎外自身も認めている。これら小島家旧蔵文献の調査結果より、『小島宝素続伝』の編纂も不可能ではない。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 真柳 誠: "台湾訪書志I故宮博物院の医薬古典籍(4)總論之属(上)"漢方の臨床. 49巻5号. 711-716 (2002)
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[Publications] 真柳 誠: "台湾訪書志I故宮博物院の医薬古典籍(5)總論之属(下)"漢方の臨床. 49巻6号. 839-849 (2002)
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[Publications] 真柳 誠: "台湾訪書志I故宮博物院の医薬古典籍(6)内科之属・外科之属・五官科之属"漢方の臨床. 49巻7号. 972-980 (2002)
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[Publications] 真柳 誠: "北京大学所蔵の日本旧蔵古医籍三点"漢方の臨床. 49巻8号. 1002-1004 (2002)
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[Publications] 真柳 誠: "『本草品彙精要』ローマ本・大塚本・ベルリン本の成立関係"漢方の臨床. 49巻9号. 1207-1220 (2002)
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[Publications] 真柳 誠: "ハノイ現存古医籍の特徴"日本医史学雑誌. 48巻3号. 382-383 (2002)
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[Publications] 真柳 誠: "金沢文庫の医学古文書"漢方の臨床. 49巻10号. 1258-1260 (2002)
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[Publications] 真柳 誠: "台湾訪書志I故宮博物院の医薬古典籍(7)婦産科之属"漢方の臨床. 49巻10号. 1365-1372 (2002)
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[Publications] 真柳 誠: "台湾訪書志I故宮博物院の医薬古典籍(8)見科之属・痘疹之属"漢方の臨床. 49巻11号. 1507-1515 (2002)
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[Publications] 真柳 誠: "北京図書館の伊沢蘭軒旧蔵元版『千金方』"50巻2号. 194-196 (2003)
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[Publications] 真柳 誠: "台湾訪書志I故宮博物院の医薬古典籍(9)鍼灸之属(上)"漢方の臨床. 50巻2号. 309-315 (2003)
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[Publications] 黄克武: "中央研究院第三届國際漢學會議論文集歴史組性別與醫療"台北市・中央研究院近代史研究所. 283 (2002)