2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13021214
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
大塚 秀高 埼玉大学, 教養学部, 教授 (30126007)
|
Keywords | 佐伯文庫 / 漢籍 / 方功恵 / 碧琳瑯館 / 旧蔵 / 内閣文庫 / 還流 / 蔵書目 |
Research Abstract |
内閣文庫所蔵漢籍中、筆者の調査により、新たに佐伯文庫本と認定されたものは30部である。うちわけは、紅葉山文庫本8部、昌平坂学問所本19部、江戸・医学館本1部、旧蔵機関不明本2部である。このほか、書誌学的に見て佐伯文庫本の可能性が存するものが50部以上存在するが、いずれも大部の書籍であって、内閣文庫当局の協力がえられず、いまだにその是非が確認できない状態にある。また、調査のなかで、かねて想定していた要因以外にも、内閣文庫の漢籍蔵書目に、佐伯文庫本の一部が著録漏れとなった要因が存在することが判明した。佐伯藩では一部の書籍とされてきたものが、内閣文庫において二つもしくはそれ以上の書籍に分割著録された結果として、出自が不明となったケースがそれである(逆に、出自の異なるものがあわせられ、本来佐伯文庫本でないものが佐伯文庫本とされている例もあった)。これらには、当然ながら「佐伯侯毛利高標字培松蔵書画之印」の印は捺されていないが、種々の状況から、佐伯文庫本にほぼ間違いないとみなせる。こうしたものが(先の50部以外に)現時点でも84部存在している。かくて、あわせて100部以上の書籍が、新たに佐伯文庫本ないしは限りなくそれに近いものとして浮上してきたのである。こうした書籍は、宮内庁書陵部蔵本にも少なくとも2部は存在していることが確認されており、完壁な調査をすれば、さらに増加することがみこまれる。 佐伯文庫所蔵の漢籍を明治維新のおりに大量に購入し、中国に還流させた方功恵の蔵書については、作成時期・精粗・著録対象を異にする複数の蔵書目が存在することが判明している。そこで、それらを調査し、すべてを統合した方功恵蔵書目とすべく、平成14年3月と7月の二回、北京図書館北海分館を訪れ調査をした。北京大学所蔵の目録の調査が未済なため完壁なものとはいいがたいが、成果は、四部分類により3000点前後の漢籍を著録する『方功恵碧琳瑯館書目(初稿)』として公開している。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 大塚 秀高: "佐伯文庫旧蔵曁現存書目録(漢籍之部)解説(其の一)"『江戸時代における漢籍の流伝-佐伯文庫を例に-』(平成13〜14年度科学研究費補助金特定領域研究(A2)研究成果報告書). 1-25 (2003)
-
[Publications] 大塚 秀高: "方功恵碧琳瑯館書目(初稿)"『江戸時代における漢籍の流伝-佐伯文庫を例に-』(平成13〜14年度科学研究費補助金特定領域研究(A2)研究成果報告書). 5+134 (2003)