2001 Fiscal Year Annual Research Report
新・旧キリスト教ミッションの東アジアにおける出版活動
Project/Area Number |
13021225
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 時雄 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (60150249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 裕樹 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (30324700)
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Keywords | 天主教 / 基督教 / ミッション / 出版 / 東アジア |
Research Abstract |
天主教や基督教のミッションが東アジア出版文化史上に與えた影響は、活版印刷術という新しい技術をもたらしたことに止まるものではない。それは整版というアジア的出版形態が、需要に應じた數だけ随時印刷可能で、市場開拓という點では受け身なのに對し、活版印刷のほうは一時に相當數の數を印刷し、再印が困難であるという條件から、勢い市場開拓的な性格を持たざるを得ない。16世紀に始まるカトリック・ミッションの場合は、活版技術を持ち込みはしたが、その出版活動の主力は傳統的な印刷法を用いたので、このメカニズムは機能しなかった。しかし19世紀以降のプロテスタントの出版活動は、教理書の無量配布を大規模に行ったことによって、このプロセスを具體化し、東アジアの近代出版文化の容態に大きな影響を與えることとなった。 今年度の具體的な研究實績は以下のとおりである。 外國人共同研究者である臺灣淡江大學教授蘇精氏、北京大學中國古代史研究中心教授李孝聰氏を招聘し、それぞれ19世紀プロテスタント・ミッションの中國における出版活動、17世紀カトリック・ミッションの中國における地圖出版につき、意見交換を行い、新たな知見を得た。とくに蘇精氏は「清末基督教傳教士的考場分書活動」と題する論文を成果の一部として寄せられ、近く発表の豫定である。 代表者の高田はイタリア・臺灣・香港・北京において、新・舊ミッションの出版物を調査した。これらは、これまでの調査の成果とあわせ、目録乃至は提要のかたちで公表する豫定である。 また、16世紀末から17世紀初頭にかけてフィリッピンで出版された、いわゆるマニラ・インキュナビュラについて、國内で豫備調査を行い、來年度行う豫定の本調査の準備を行った。 分擔者の中西は、バーゼル・ミッションが19世紀に中國廣東省客家居住區を對象として出版した書物の整理・研究を進めている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 高田 時雄: "ジュゼッペ・ロスとロス文庫"文學. 2巻3号. 1-10 (2001)
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[Publications] 高田 時雄: "イタリアにおける漢籍の蒐集(上)"東方. 244号. 2-6 (2001)
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[Publications] 高田 時雄: "イタリアにおける漢籍の蒐集(下)"東方. 245号. 2-6 (2001)
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[Publications] 高田 時雄: "カトリック・ミッションの言語戦略と中國"文學. 2巻5号. 1-7 (2001)