2002 Fiscal Year Annual Research Report
宋版仏書、とくに東禅寺版の刷印(補刻)に関する調査研究
Project/Area Number |
13021239
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
牧野 和夫 実践女子大学, 文学部, 教授 (70123081)
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Keywords | 宋版一切経 / 東禅寺版 / 開元寺版 / 墨丁 / 刻工名 |
Research Abstract |
前年度より引き続いて、宋版一切経のうち、東寺一切経の調査を二回にわたって行った。 7月29日〜8月2日総計369帖 12月16日〜20日総計223帖 東禅寺・開元寺各版の詳細な書誌調査を行った。なお、12月の調査では、京都大学名誉教授竺沙雅章先生に宋版一切経の調査に関するご指導を頂いた。 また、醍醐寺蔵一切経の予備的な調査を醍醐寺当局のご許可を得て8月20・21の両日に行い、今後の調査の方針に極めて参考になる有益な情報を得ることができた。 原本調査以外に東禅寺・開元寺版に認められる日本僧の手に係る施財刊記を集め、主にその施財時期・背景について分析した。昨年度までの東禅寺版の大般若経における分析の手法を用いて、東禅寺・開元寺各版の詳細な刻工名調査で得られた刻工名や施財刊記を本源寺蔵宋版一切経などのそれと比較し、昨年同様に多くの知見を得た。 1、醍醐寺蔵一切経のうち東禅寺版は東寺蔵のそれに比して早くに舶載されたが、比較的に近い時期であること。 2、東寺蔵の東禅寺・開元寺各版が時期を異にした刷印のものであることは既に解明したが、極めて相似た装丁も仔細に検討した結果(平成14年度までの時点で)、異なる可能性が高くなってきたこと。 3、東寺蔵の開元寺版の施財刊記部分にも東禅寺版同様に墨丁(墨格)の存在することは既に口頭発表などで指摘してきたが、かなり多量に見出すことができたこと。 など、今後の調査の進展によって解明しうる手がかりを得た。 「東アジア出版文化の研究」第四回研究集会でそれらに関して口頭発表を行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 牧野和夫: "日本舶戴東禅寺版一切経の刊・印・修をめぐる一,二の問題・補遺"実践国文学. 62号. 31-41 (2002)
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[Publications] 牧野和夫: "日本舶戴東禅寺版一切経の刊・印・修をめぐる一,二の問題"東アジア出版文化研究 にわたずみ. (2003)