2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13021240
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
小川 陽一 大東文化大学, 文学部, 教授 (30007356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝山 稔 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 助教授 (80302199)
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Keywords | 明清出版 / 福建出版 / 坊刻本 / 家刻本 / 官刻本 / 書価 |
Research Abstract |
◇小川陽一:日本に現存する、明・清刊の福建出版の坊刻本及びその周辺の書籍を、東北大学図書館・東京大学東洋文化研究所図書館・国立公文書館内閣文庫等9機関において調査した。調査内容は上記書籍の出版をめぐる諸情報-編著者の状況、編著者と出版者との関係、出版者同士の関係、原稿料、出版の技術的状況、その経費、本の販売価格、販売機構、などであった。本の価格に関する新知見に関して言えば次のようである。従来知られていた宮内庁本『万宝全書』34巻8冊の封面の「毎部定価/銀壱両正」は、押印ではなく版木に直接彫り込まれたものであること。蓬左文庫蔵『青蓮露』6巻6冊に「毎部紋銀貮両」の押印があること。同じく蓬左文庫蔵『新編事文類聚翰墨大全』134巻26冊の封面に「万暦辛亥歳孟夏月重新/補好紙毎部価銀壱両正」と版木に直接彫り込まれていること。この他、清末の善書には喜捨や印刷部数などの報告が付されていて、善書刊行の流行と経費などを知る手がかりになることは、すでに指摘があるが、このことと『紅桜夢』や『岐路燈』などの小説に描かれた善書刊行の場面と結びつけると、善書の刊行価格、刊行機構などについて、より多様な状況を知ることができること、などを明らかにした。 ◇勝山稔:坊刻本の出版状況に関する資料を収集整理し、5300件をコンピューターへ入力して、坊刻における小説の位置づけについて基礎的な分析を試みた。その結果、坊刻及び家刻・官刻を含めた出版件数全体では、万暦30年前後が明代を通じて最も多くの出版件数が確認された他、万暦年間のピークと異なり、嘉靖10年代〜30年代や崇禎4〜9年の期間にも出版数の活発期が認められた。建陽の坊刻については弘治末年から嘉靖12年の期間と、万暦16年から万暦46年の期間の大きく二回の活発期が見られた。小説の出版は万暦に集中していた。
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Research Products
(2 results)