2003 Fiscal Year Annual Research Report
中国における才子佳人小説の出版と朝鮮・越南・日本への影響
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13021252
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Research Institution | Takaoka National College |
Principal Investigator |
磯部 祐子 高岡短期大学, 地域ビジネス学科, 教授 (00161696)
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Keywords | 才子佳人小説 / 日本 / 朝鮮 / 越南 / 出版 / 受容 / 二度梅 / 好逑傳 |
Research Abstract |
才子佳人小説出版のアジアへの影響を、13年度・14年度は、主に「玉嬌梨」「平山冷燕」「金雲翹傳」などに重きを置いて、その資料調査と分析を進めてきたが、15年度は「二度梅」「好逑傳」の出版と伝播を中心に考察を行ってきた。 その結果、これらの作品の、地域ごとの受容の相違は、その文化圏の思想背景と濃厚なかかわりを持つのみならず、語り物など口承文芸の影響が伝播と需要にも大きく影響を与えたことを指摘する。 前者の例として、「好逑傳」が朝鮮半島で多く受け入れられた背景に、名教を重んずる思想基盤があることを指摘できよう。朝鮮半島では、「好逑傳」に見るような才子佳人たちが社会的認知を得ることなく結合しない、という強い意志を賛美しハングル訳を生み出すにいたったのであり、これは、昭和初期、佐藤春夫がゲーテの仏訳に接し、その作品にある倫理と詩美との好調和を賞賛し翻訳したのとは大いに異なる。 また、後者の例として、「二度梅」の出版がベトナムにおいて多く見られるが、これは、広東一帯に流行し、ベトナムにも流伝した「木魚書・二度梅」などの口承文芸の影響であることなどが挙げられよう。 また、才子佳人小説の今日の戯曲上演に与える影響を考察発表し、同時に、才子佳人関連の戯曲版本の考察も行い『国宝史記から漱石原稿まで』(特定領域研究「東アジア出版文化の研究総括班」編集)において解説を試みた。なお、東アジアにおける才子佳人小説の出版と受容のデータベース化は継続して行ってきた。
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Research Products
(2 results)