2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13022246
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
伊藤 嘉浩 財団法人 神奈川科学技術アカデミー, 再生医療バイオリアクター・プロジェクト, 研究員 (40192497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野川 誠之 財団法人 神奈川科学技術アカデミー, 再生医療バイオリアクター・プロジェクト, 研究員 (90359117)
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Keywords | 刺激応答性高分子 / 多孔性膜 / 自己集積化 / 温度応答性高分子 / 物質透過性 / マイクロチップ / マイクロチャネル / 高分子鎖の広がり |
Research Abstract |
刺激に応答して物質透過性を制御できるフィルムは、自律的なシステムの構築のために重要である。我々は、これまでに様々な刺激応答性高分子を多孔性膜に被覆し、刺激に応答した高分子の伸縮により孔のサイズを変化させ、物質の透過性を制御できることを明らかにしてきた。そして、高分子による被覆方法として金被覆した膜への自己集積化法が簡便であることを報告してきた。本研究では、被覆する刺激応答性高分子として側鎖にチオール基を有するイソプロピルアクリルアミドとアクリル酸の共重合体を調製し、温度とpHに応答した水透過性を検討した。 アクリル酸の仕込み5%と30%の共重合体を調製した。各々のチオール基含有率は1.8%と3.2%になった。調製したチオール基導入共重合体水溶液の温度に応答した濁度変化を調べたところ、両共重合体ともpH3では、33度付近にLCSTが観測されたが、pH7では、水溶液は70度まで透明のままであった。このような高分子の金表面への吸着挙動を水晶発振マイクロバランス(QCM)で測定した。チオール基を導入していない高分子の吸着は全くなかったが、導入高分子は顕著に吸着した。チオール基含有率の高い共重合体の方が、吸着量は少なくなった。これは、1高分子当たりの吸着サイトの占有面積が多くなったためと考えられる。また、吸着時のpHや温度により吸着量に変化が観測された。 このような高分子自己集積化膜の透水性を測定したところ、pH7においては、温度に応答した透水性の変化は観測されなかったが、pH3においては25度と40度で大きな透水性の変化が観測され、集積化高分子鎖の広がりの変化に依存していることがわかった。マイクロチップ上に溝を形成し、刺激応答性高分子をグラフトした金微粒子を用いた物質透過性の制御に関する実験を現在進行中である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 劉洪春, 伊藤嘉浩: "Cell attachment and detachment on micropattern-immobilized poly(N-isopropylacrylamide) with gelatin"Lab on a Chip. 2. 175-178 (2002)
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[Publications] 伊藤嘉浩, 野川誠之: "Preparation of a protein micro-array using a photo-reactive polymer for a cell adhesion assay"Biomaterials. 24(印刷中). (2003)
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[Publications] 伊藤嘉浩: "Design and synthesis of functional polymers by in vitro selection"Polym. Adv. Technol.. 14(印刷中). (2003)
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[Publications] 伊藤嘉浩: "進化分子工学による新しいバイオデバイスの創成"化学工業. 53. 430-436 (2002)
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[Publications] 伊藤嘉浩: "コンビナトリアル・ケミストリーで高分子触媒を創る:抗体触媒を超える"有機合成化学協会誌. 60. 56-57 (2002)
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[Publications] 伊藤嘉浩: "自己伸縮する複眼マイクロレンズ-刺激応答ゲルの微細加工-"化学と工業. 55. 570-573 (2002)
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[Publications] 伊藤 嘉浩: "ナノ分子デバイスの創成"化学同人. 213 (2003)