2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13024204
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
常盤野 哲生 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50312343)
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Keywords | ジャガイモ / ファイトアレキシン / 内因性エリシター |
Research Abstract |
本研究ではジャガイモのファイトアレキシン誘導に携わる内因性エリシターの探索を行っている。平成14年度は、化学的ストレスを与えたジャガイモからエリシター活性物質を抽出し、膜分画による精製を検討した。活性試験については、代表的ファイトアレキシンであるリシチンの代謝産物、リシチンM1を指標とした方法(平成13年度に報告)で行った。尚、リシチン類の分離・検出はGCこ替えて逆相HPLCを採用した。 [1、粗抽出物の活性試験] ジャガイモ塊茎に過酸化水素水を接種してストレスを与え、塊茎表面から得られた水抽出物のSephadexG25分画について活性試験を行った。その結果、リシチンM1に対してリシチンの検出量は3分の1〜20分の1程度であった。リシチンの生成はコントロールとの区別が困難であり、M1を指標とした新規活性評価の妥当性が示された。 [2、膜分画による精製] 膜特性が分子量10000と5000のメンブレンフィルタを用いた。10000非通過画分をA、10000通過/5000非通過画分をB、5000通過画分をCとした。エリシター活性はAおよびCに認められた。ジャガイモにおける内因性エリシターとして、過去に分子量9200の酸性多糖が報告されているが、画分Cに活性が見いだされたことから、新規エリシターの可能性が示唆された。また、初期精製法としてはゲル濾過に比較して簡便な方法である。 本研究期間全体を通して要約する。ジャガイモの内因性エリシター探索に際して、リシチン代謝産物を指標とした活性評価を検討し、本実験系においてその妥当性を示した。また実験結果は、探索物質が「ジャガイモの健全性をある程度保持しつつファイトアレキシンを誘導する」ことも意味しており、メカニズム解明に向けた新たな知見が得られたと言える。更に、メンブレンフィルタによる精製を行い、新規活性物質の可能性を示唆した。
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