2001 Fiscal Year Annual Research Report
藻類の有性生殖で機能する走化性フェロモンの検出・単離と生化学的解析
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13024225
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関本 弘之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (20281652)
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Keywords | 性フェロモン / ミカヅキモ / 有性生殖 / 情報伝達 |
Research Abstract |
異系接合型のミカヅキモ(Closterium pslc)では、+型、-型と呼ばれる遺伝的に決定された性(接合型)を持ち、両者を適切な環境条件下で混合することにより、有性生殖(接合)が誘起されるが、接合の前提となる細胞のペア形成に関わる細胞間情報伝達物質(走化性フェロモン)についてはその正体が全く不明であった。 Closterium pslcが接合相手とペアを形成するためには、それに先立ち栄養細胞から配偶子嚢細胞への分化をすることが必要である。昨年までに、有性生殖特異的細胞分裂(有性分裂)による配偶子嚢細胞への分化を確認しており、実際にその過程を誘起する生理活性物質の検出にも成功した。これらをふまえ、今年度は以下の解析を行った。 1)有性分裂を誘導する活性物質の特性解析 有性分裂を誘起する生理活性物質について精製を試みたところ、既知の性フェロモン(PR-IP, PR-IP inducer)と熱安定性、作用に対する光要求性、フェロモン産生条件、分子量などの点において高い類似性が見られた。有性分裂については、本物質を接合誘導活性を示すより希釈しても十分誘起可能であった。これらから、二種の性フェロモンが濃度によってそれぞれ二種類の生理活性を使い分けていることが示唆された。 2)不溶性多糖物質の分泌を誘起する性フェロモンの解析 +型と-型の細胞を混合すると、細胞の周囲に粘液多糖物質を多量に分泌することが判明した。この多糖は、ペアを形成した細胞の接着部分に多く存在し、後におこるプロトプラスト放出、融合の過程で、プロトプラスト及び接合子を取り囲むように分泌され、ペア形成、浸透圧からの保護に関わっていることが示唆された。さらに、この多糖を分泌させる生理活性物質を、接合相手の細胞の培養液中に検出した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tomoko Tada: "Biochemical characterization of an adenylate cyclase, CyaB1, in the cyanobacterium Anabaena sp. Strain PCC 7120"Journal of Plant Research. 114. 387-394 (2001)
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[Publications] Ryo-hei Fukumoto: "Purification and characterization of a pheromone that induces sexual cell division in the unicellular green alga Closterium ehrenbergii"Plant Physiology and Biochemistry. (in press). (2002)
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[Publications] Hiroyuki Sekimoto: "Production and secretion of a biologically active Closterium sex pheromone by Saccharomyces cerevisiae"Plant Physiology and Biochemistry. (in press). (2002)
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[Publications] 日向 康吉: "花-性と生殖の分子生物学"学会出版センター. 258 (2001)